[OR23-5] 総肺静脈還流異常症術後肺静脈狭窄に対するステント留置の予後
Keywords:総肺静脈還流異常, 肺静脈狭窄, 肺静脈ステント留置
【背景】総肺静脈還流異常術後の肺静脈狭窄あるいは閉塞は、しばしば治療に難渋し生命予後に関わる。経カテーテルないしハイブリッドでステント留置されるものの、その後も治療に難渋する例が多い。【目的】ステント留置後に良好な経過を辿る症例を検証する。【方法】2000年1月から2020年12月の20年間に総肺静脈還流異常と診断され、肺静脈に対する外科的手術介入後フォローアップを行った72例のうち、ステント留置した9例(12.5%)を対象とした。【結果】72症例中、術後に肺静脈狭窄ないし閉塞をきたした例が25例(34.2%)みられた。そのうち20例(27.8%)に治療が行われ、経過中にステント留置を行った例が9例(12.5%)、22病変であった。無脾症を2例含む。経カテーテル的に留置した例が4例(6病変)、ハイブリッドが7例(16病変)であった。2例(3病変)は経カテーテル的に留置後、遠隔期にハイブリッドで再留置しており重複する。留置ステントはbare-metal stent 20病変、drug-eluting stent 1病変、covered stent 1病変であった。ステントサイズは最小3.5 mm、最大12 mmであった。ステント留置時期は、初回手術後8.5ヵ月(2ヵ月~16.8年)でフォローアップ期間は留置後42ヵ月(1ヵ月~18.2年)。2例(4病変)が肺静脈狭窄を原因としてステント留置後6ヵ月および11.3年後に死亡した。ステント留置後にバルーン拡張術などの再介入なく開存維持できている病変が7病変(31.8%)あった。それ以外は、バルーン拡張術や再ステント留置が行われた。再介入なく開存維持できている病変は、ステントサイズ(p=.013)、留置時年齢(p=.019)に相関がみられた。【考察】体格や時期、狭窄部位の形態により選択できるステントに制限があるものの、バルーン拡張術を反復し成長を待って、いずれ外科的な再介入が可能となり良好な経過を辿る例が存在する。【結論】ステント開存性はステントサイズと留置時年齢に相関する。