[OR24-1] Fontan術後患者における運動時末梢静脈圧上昇と肝腎機能の関係
キーワード:フォンタン, 静脈圧, 心肺運動負荷試験
【はじめに】フォンタン循環は全身の静脈うっ血を特徴とする血行動態であり、中心静脈圧や末梢静脈圧が上昇している。運動時にはその程度は強まり、末梢静脈圧はさらに上昇する。我々は昨年度の本学会において、運動時末梢静脈圧上昇と運動耐容能低下との間に相関があることを報告した。今回は、運動時末梢静脈圧上昇と肝腎機能の関連について検討する。【方法】フォンタン術後患者25名(年齢中央値:12歳)に対して、静脈ルートを確保し末梢静脈圧を測定しながらトレッドミルによる心肺運動負荷試験を行った。酸素消費量(VO2: l/min/kg)と末梢静脈圧(VP: mmHg)を、1分ごとに測定し、VO2をVPで除した指数VO2/VPを求めた。この指数は低いVPで高いVO2が実現できる場合に高値となり、フォンタン循環の効率性を表す指標と考えられる。嫌気代謝閾値(AT)、最大運動時(peak)、最大値(max)のVO2/VPを算出し、AT-VO2/VP、peak-VO2/VP、max-VO2/VPとした。肝腎機能を表す指標としては、血小板数、総ビリルビン(Tbil)、AST、ALT、コリンエステラーゼ(ChE)、γGTP、アルブミン、総コレステロール(Tchol)、4型コラーゲン、ヒアルロン酸、クレアチニン、eGFR、APRI、Fib-4 indexを採用した。これら肝腎機能を表す指標とAT-VO2/VP、peak-VO2/VP、max-VO2/VPとの間の相関関係を検討した。【結果】AT-VO2/VPはTbilと負の、Tcholと正の相関を示した(R 2 = 0.3, p=0.03, R 2=0.35, p=0.002)。peak-VO2/VPはTbilと負の、Tcholと正の相関を示した(R 2 = 0.22, p=0.02, R 2=0.25, p=0.01)。max-VO2/VPはTcholとChEと正の相関を示した(R 2 = 0.28, p=0.008, R 2=0.32, p=0.003)。【考察】相関を認めたTbilは肝臓のうっ血を表し、Tchol、ChEは肝臓の合成能を表し、いずれも肝予備能を表す代表的な指標である。これらの指標は肝線維化や腎機能障害がみられる以前に、循環動態を反映し変化し始める可能性がある。