[OR24-3] fenestration閉鎖試験を行なったFontan患者の臨床経過と中期予後
Keywords:Fontan術, fenestration, 閉鎖試験
【背景】Fontan術におけるfenestration(F)作成はCVPを低下させ,CIを維持することで,術後早期生存率の改善と合併症の減少に寄与する。しかし長期的にはチアノーゼや塞栓などのリスクがあり閉鎖が考慮されるが,その適応について定まったものはない。またF閉鎖後の長期的な予後は不明である。【目的】閉鎖試験でF閉鎖適応判断したFontan患者の中期予後を検討すること。【方法】対象は1999 ~2020年に当院でF閉鎖試験を行なった18例。F閉鎖の基準は閉鎖時のCVP上昇が4mmHg以下でかつCIが30%以上低下しないことに加え,APcやVVcの有無,PAサイズ,肝障害などを考慮し判断した。対象をA群:F閉鎖例,B群:F非閉鎖例の2群に分けた。検討項目は閉鎖試験(複数回実施の場合は最終)時のカテデータ,閉鎖時のパラメーターの変化(CVP,CI),現在の臨床所見,直近のカテデータ,肝エコー所見【結果】Fontan手術の年齢中央値はA群/B群2.5歳/2.2歳。最終閉鎖試験の年齢はA群/B群4.5/ 5.5歳。閉鎖試験の血行動態の変化はCVP:A群で閉鎖前11 (8-17)→閉鎖後11.5(9-17)mmHg, B群で10.5(9-17)→12.5(11-18)mmHg,CI:A群 3.7→3.0,B群 3.4→3.2。両群ともCVP上昇は4mmHg以下でCIの低下も30%以内であった。B群で閉鎖しなかった理由はAPcやVVcの存在,PAサイズ,肝硬度上昇などであった。Fontan術後経過年数及び閉鎖試験からの観察期間はA群/B群19/8.5年,A群/B群18.8/6.9年。現在のNYHAは両群とも全例1-2度であった。A群でPLE・PBはなかったが,B群でPLEを1例認めた。直近のカーテル検査結果はCVP:A群/B群12(7-14)/12(8-14)mmHg,CI:A群/B群3.2/ 3.8,SaO2:A群/B群92.2/86.9%。肝エコー所見は肝硬度A群/B群16.1/12.9であった。 【まとめ】両群とも臨床的に安定しており,CVPの上昇はなくA群ではSaO2の上昇も得られ,閉鎖適応の判断は概ね妥当であった。肝線維化を含め,長期的な影響についてはさらなる検討が必要である。