[OR24-4] 先天性心疾患術後遠隔期におけるBIA法を用いた体組成評価
Keywords:フォンタン循環, サルコペニア, BIA法
【背景】成人期に到達する先天性心疾患術後患者(CHD)におけるサルコペニアの実態についてはまだ報告は少なく不明な点が多い。小児期からの心臓手術の影響、術後心不全、日常生活の身体活動の制限や栄養状態など筋肉量を含めた体組成に与える影響因子は多い。 【目的】Bioelectrical impedance analysis(BIA)法を用いてCHD患者の体組成を単心室修復群(F群)と二心室修復群(B群)に分けて評価すること。 【対象と方法】CHD術後患者92例,F群63名(男38例 女25例 16±5才)と合併症のないB群29例(男11例 女18例 13±6才)を比較した。InBody S10 によるBIA法で体組成評価を行い、体脂肪率(FM%), 骨格筋指数(SMI),部位別骨格筋量を求めた。測定値は各年齢、性別の正常値で補正した。【結果】身長(z value):F群 -1.20 vs B群 -0.1 (p<0.01)で差を認めたが,体重,BMI,体脂肪率に差はなかった。年齢標準値で補正したSMI,上肢骨格筋量,下肢骨格筋量では,SMI:F群0.899 vs B群0.974(p=0.01),上肢骨格筋量:F群0.813 vs B群0.908(p=0.07),下肢骨格筋量:F群0.930 vs B群0.996(p=0.007)とSMI、下肢骨格筋量で有意差を認めた。【考察】術後遠隔期においてF群はB群に比して身長が低く、体全体の筋肉量、特に下肢の筋肉量が少ない。F群では、B群に比べ基本的な低心拍出に加え幼少期からの運動制限など日常身体活動量が少ないことが原因として示唆された。【結語】F術後遠隔期患者は合併症のない二心室修復患者と比較して、筋肉量(特に下肢)が少なく、成人期におけるサルコペニアのリスクが高い。