The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

術後遠隔期・合併症・発達

デジタルオーラルI(OR24)
術後遠隔期・合併症・発達 2

指定討論者:塩野 淳子(茨城県立こども病院)
指定討論者:落合 由恵(JCHO九州病院)

[OR24-5] 術後遠隔期に心内血栓形成にて外科的切除を行った3症例

寺澤 厚志1, 桑原 直樹1, 田中 秀門1, 山本 哲也1, 桑原 尚志1, 川口 祐太朗2, 渕上 泰2, 岩田 祐輔2 (1.岐阜県総合医療センター、小児医療センター 小児循環器内科, 2.岐阜県総合医療センター、小児医療センター 小児心臓外科)

Keywords:術後合併症, 血腫, 血栓

【背景・目的】先天性心疾患術後合併症は様々であるが、心内血栓の報告は多くはない。今回我々は術後遠隔期に心内血栓を認めたため外科的切除を行った3症例を経験したため報告する。
【症例1】46歳女性。44歳時に心房中隔欠損をカテーテル治療にてデバイス(FF2)閉鎖。術後経過良好であり、他院紹介となったが2年後に脳梗塞を発症した。精査にて左房に粘液腫を疑う所見あり。外科的切除を行い、病理組織検査で血栓と判明した。デバイスは心房壁内に埋没しており、血栓は心房壁から連続していた。
【症例2】11歳男児。10歳時に心房中隔欠損に対して外科手術(直接吻合)を行った。術後経過良好であったが、術後1年で右房内に13×18mm大の有茎性の腫瘤を認めた。準緊急で切除術を施行。病理組織検査では、器質化傾向のある血栓であった。抗血小板療法と1年間の抗凝固療法を継続している。
【症例3】7歳男児。3歳時に心室中隔欠損(VSD)に対して外科手術(patch閉鎖)を行った。術後経過良好であり、他院にてフォローされていた。術後4年で右室内にVSD patchから連続する腫瘤を認め紹介。辺縁は比較的整で内部一部lowな19×13mmの腫瘤を認めた。TEEでも同様の所見であり、準緊急で切除術を施行。病理組織検査では、陳旧性変化を示す血栓であり、線維組織も認めた。抗血小板療法と1年間の抗凝固療法を継続している。
【考察】先天性心疾患手術では人工物を用いるものも多く、血栓や感染性心内膜炎のリスクとなる。器質化した疣贅の可能性や血栓溶解療法の選択も考慮されたが、播種のリスクを懸念し外科的切除術を行った。切除術後に抗凝固・抗血小板療法を行っているがいつまで続けるか、一定の見解はない。
【結語】先天性心疾患術後遠隔期に心内血栓を認めた症例を経験した。術後フォローの際に心内血栓の可能性も考えて、エコーを行っていく必要がある。