[OR25-1] フォンタンルート狭窄解除後に造影MRI検査の肝臓所見は改善するか?
Keywords:FALD, Fontan, MRI
【背景】Fontan循環関連肝臓病(FALD)はFontan術後合併症の中で重要な予後規定因子である。当院では肝細胞特異性造影剤を用いたMRI検査(EOB-MRI)を行い、肝静脈領域を中心とした肝実質の造影異常を呈することを報告した。今回、Fontan術後早期にFontanルート解除術を施行した2例のEOB-MRI所見を報告する。【症例1】6歳男児。右側相同、左室低形成を伴う房室中隔欠損症に対して1歳8か月時に心外導管型Fontan手術施行。術後1年の下大静脈(IVC)圧は11mmHg、術後5年のIVC圧は15mmHgと上昇しており、器質化血栓による導管狭窄を認めたため、再導管置換を行った。狭窄解除1年後のIVC圧は11mmHgに改善した。EOB-MRI所見は、Fontan術後1年はびまん性に肝静脈領域に一致した造影不良を認め、術後5年は造影不良域が悪化し広範囲に進展していた。狭窄解除1年後の所見は前回同様で広範囲の造影不良域が残存し、有意な改善は認めなかった。【症例2】8歳女児。Ebstein奇形に対して2歳時にIVCと肺動脈を直接吻合してFontan手術施行。術後5年で原因不明の汎発性腹膜炎を繰り返し、腹腔鏡での試験開腹で肝硬変様の所見を認めた。カテーテル検査でIVCと肺動脈吻合部に狭窄を認め、IVC圧はFontan術後3年時の13mmHgに比して16mmHgと高値であり狭窄解除術を行った。EOB-MRI所見は、Fontan術後5年時はびまん性に肝静脈支配領域に一致した造影不良を認めたが、狭窄解除後1年と4年では明らかな増悪所見は認められなかった。【結語】Fontanルート狭窄による高いIVC圧はFALDの悪化を助長させる可能性がある。しかし、Fontanルート狭窄解除後に、EOB-MRIでの肝障害の増悪はないが明らかな改善も認めなかった。今後、症例を蓄積して長期的なFALDへの進展の有無や治療介入に寄与したい。