[OR25-2] フォンタン術後早期の血行動態的指標と遠隔期予後予測
キーワード:フォンタン, 合併症, 予後予測
【背景】高い中心静脈圧と低い心拍出量を特徴とするフォンタン循環では様々な合併症が発生するが、術後早期に遠隔期予後を予測することは困難である。【目的】フォンタン術後早期の血行動態的指標と遠隔期予後の関連を検討する。【方法】当院でフォンタン型手術を施行した患者159名を対象とした単施設後方視的観察研究。CVP12mmHg、CI(Fick)3.0L/min/m2を基準として術後1年の心臓カテーテル検査からlowCVP/lowCI群(N=41、25.8%)、lowCVP/highCI群(N=32、20.1%)、highCVP/lowCI群(N=34、21.4%)、highCVP/highCI群(N=52、32.7%)の4群に分類、臨床経過を比較検討した。臨床経過の調査項目として生命予後の他にフォンタン関連合併症(心不全、不整脈、蛋白漏出性胃腸症、鋳型気管支炎、肺動静脈瘻、食道静脈瘤、肝硬変、血栓塞栓症)の発生の有無を診療録より収集した。【結果】フォンタン施行時年齢は中央値2.6歳(0.9-15.7歳)、フォローアップ期間は中央値12.3年(0.9-26.9年)、死亡例は12名、術後5、10、20年生存率は各々96.0、94.3、87.2%だった。術後20年生存率の4群間比較ではlowCVP/highCI群、highCVP/highCI群、lowCVP/lowCI群、highCVP/lowCI群の順に高く、各々100、91.1、86.9、73.9%だった。合併症の発生率はlowCVP/highCI群が最も少なく(18.8%)、highCVP/lowCI群が最も多かった(52.9%)。特に蛋白漏出性胃腸症の発生率は15名(9.4%)だったが、その内にlowCVP/highCI群はみられなかった。【結語】フォンタン術後早期のCVPとCIを用いた予後予測は有効だったが、予測精度の向上には更なる症例の蓄積が必要と考えられた。