[OR25-3] オクトレオチドとミドドリンの併用が奏功した難治性蛋白漏出性胃腸症の一例
キーワード:ミドドリン, 蛋白漏出性胃腸症, 術後合併症
【背景】フォンタン術後遠隔期の蛋白漏出性胃腸症(PLE)に対して様々な薬物療法が用いられているが難治性であることも多い。PLEの病態にはリンパ管の異常が関係しており、リンパ管はα受容体を刺激することで収縮頻度が増加することが知られている。α受容体刺激薬であるミドドリンがPLE治療に効果的であるという報告を基に、当院でも難治性PLE患者に対してミドドリンを使用し、効果的であった症例を経験したため報告する。【症例】20歳男性、Criss-Cross Heart/Hypo-RV/VSDに対し、2歳時にBCPS(術後complete AVBとなりPM留置)、3歳時にfenestrated TCPCを施行した(fenestrationは自然閉鎖)。15歳時にPLEを発症しステロイドやヘパリン投与を行うも効果が乏しく、入院期間が長期化した。fenestration作成を支持する圧所見は無く(CVP 15mmHg、PCW 12mmHg)、またdyssynchronyも無くCRT適応外であった。難治性PLEの治療に対してオクトレオチドを開始したところPLEは寛解し、徐放性製剤の筋注を導入し外来管理が可能となった。しかし、1年後に再度PLEの増悪を認めたため、有効とされていた既報告を基にミドドリン内服(6mg/day分3)を開始した。開始前は2-3週毎に血液製剤を必要としていたが、ミドドリン内服開始後は3ヶ月経過するも血液製剤は一度も必要とすることなく、アルブミン値は安定している。また、血圧上昇などの明らかな副作用もなく経過している。【考察】フォンタン術後難治性PLEに対し、オクトレオチドとミドドリンの併用により安定した外来管理が可能となった症例を経験した。PLEの病態としてリンパ流の障害が指摘されており、ミドドリンは難治性PLEに対して考慮すべき治療法である。