第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

術後遠隔期・合併症・発達

デジタルオーラルI(OR25)
術後遠隔期・合併症・発達 3

指定討論者:中島 弘道(千葉県こども病院)
指定討論者:城戸 佐知子(兵庫県立こども病院)

[OR25-5] Fontan患者における夜尿症と発達障害の関わり

塚田 洋樹1, 中川 良1,2, 先崎 秀明1, 菅本 健司3, 竹蓋 清高1, 籏 義仁1, 植田 由衣1, 中西 敏雄1, 佐藤 有美1 (1.国際医療福祉大学 成田病院 小児科, 2.成田富里徳洲会病院 小児科, 3.キャップスクリニック)

キーワード:フォンタン, 夜尿, 発達障害

【背景】近年Fontan患者の予後改善はめざましい。ゆえに以前にもましてQOLが求められている。一般にFontan患者は学習障害,言語発達の遅れ,ADHD等が高率に認められる.また夜尿は自然治癒が期待できるものの,自尊感情の低下や引っ込み思案の原因になる可能性があり、健全な情緒発達を脅かすリスクとなる.これまでFontan患者における夜尿の頻度と、その原因についての報告はない。【目的】Fontan患者における夜尿症の頻度を調べ、夜尿に影響を与える因子を明らかにする.【方法】Fontan手術を受けた患者34例の小学校低学年時点での夜尿の有無を後方視的に調べる.さらに発達障害の有無、NYHA、SpO2、BNP、CVP、心不全入院・PLE・不整脈・脳血管イベントの有無についても調べ、夜尿への影響を統計学的に検討する。【結果】小学校低学年時点でFontan患者10/34例(29.4%)に夜尿を認め、一般的な罹病率(10%)を大きく上回っていた。また小学校低学年~高学年と成長を重ねるごとに一般頻度との差がさらに増大し、自然緩解の頻度が少ないことを示唆した。さらに、Fontan患者内においては何らかの発達障害を18/34例に認め、発達障害がある場合vsない場合での夜尿の頻度は7/18例 (38.9%) vs 3/16例(17.5%)、p<0.01であった。血行動態含め、その他の項目については夜尿への影響は認めなかった。【考察】Fontan患者における発達障害は頻度が高いことが知られている。一般的に発達障害を伴う児には夜尿が多いが、Fontan患者でも同様の結果であった。発達障害を伴う夜尿は自然治癒率が低いことが報告されており、積極的な介入が求められる。今回の夜尿例のうち5例に対してミニリンメルトが導入されていたが、心不全の悪化含む副作用は一例も認めていない。【結論】Fontan患者において夜尿の頻度は高く、原因の一つとして発達障害が関与している。薬物治療は選択肢になり、さらに療育も重要と考えられる。