[OR26-1] Eisenmenger症候群成人例に対するDisease targeting therapyの効果
キーワード:Eisenmenger , disease targeting therapy, registry
【目的】Eisenmenger症候群成人例に対するDisease targeting therapy(DTT)の効果について検討する事.【方法】Eisenmenger症候群成人例前向き研究に登録された症例90例について,Primary event(PE)を調べ, DTT施行例69例を,proactiveに開始又は強化したP群(13例),臨床的悪化後に開始又は強化したCD群(22例),DTTを変更しなかったNC群(34例)に分けて,登録時から最終受診時のWHO-FC,SPO2,赤血球数(RBC),BNPの変化をt検定(対応有るペア)を用いて検討した.【結果】症例の内訳は,男性29例, post tricuspid shunt 78例, Down症 26例で,登録時年齢の中央値は34歳(16-73歳),登録期間の中央値は47ヶ月(1から80ヶ月)であった.Primary event(PE)38例(入院20例,死亡6例,肺移植1例,WHO-functional class(FC)悪化11例)で,入院の理由は心不全9例, 出血7例(喀血5例),低酸素血症3例,大動脈解離1例で,入院後3例が死亡した. 74ヶ月PE回避率は49%, 死亡肺移植回避率は82%であった.登録時から最終受診時のWHO-FCの平均値は2.2から 2.3(P=0.16),SPO2の平均値は87.1%から87.6%(P=0.54)と有意な変化はなく,3群ともに有意な変化は無かった.一方,RBCの平均値は589万/μlから569万/μl(P=0.0024) と有意な低下を認めたが,3群間に有意差は無かった.BNPの平均値は93pg/mlから143pg/ml(p=0.07)へ増加の傾向を示したが,3群間に有意差はなかった【考察】P群CD群でWHO-FC,SPO2に有意な変化がなかったことは,proactiveな使用の安全性,臨床的悪化後のDTTの有効性を示唆している.RBCが有意に減少していることから,DTTがhypoxiaの進行を抑えている可能性がある.ただし, 有意ではないもののBNPが増加していることは,DTT使用にもかかわらず心機能障害が進行していることが示唆される.【結論】ES成人例に対するDTTは,hypoxiaによる赤血球増多の進行を抑える可能性はあるが,心機能障害の進行を抑える効果については不明である.