[OR27-4] Fontan腎症: 病理組織診から巣状分節性糸球体硬化症と診断した成人Fontan術後患者2例の経験
Keywords:フォンタン, 腎障害, 腎炎
背景: Fontan術後患者の腎合併症について、経年的な糸球体濾過率の低下やその因子の報告が散見されるが、腎病理組織診の報告はなく病態は不明である。開放腎生検を行った成人Fontan術後患者2例の腎病理組織診からFontan腎症の病態について考察する。
症例1: 34歳男性。診断は完全大血管転位症、房室中隔欠損、肺動脈狭窄、両側上大静脈、無脾症候群。2歳時にBTシャント術、13歳時にTCPCを施行した。30歳で腎梗塞、34歳で小脳梗塞および急性下肢動脈血栓症に罹患した。その際2型糖尿病と診断した。労作時呼吸困難、浮腫を主訴に受診した。経皮的酸素飽和度(SpO2) 92%であった。尿素窒素15 mg/dL血清クレアチン1.12 mg/dLと上昇し、尿潜血および蛋白が強陽性を示した。推定糸球体濾過率は62.3 mL/min/1.73m2、蛋白・尿クレアチニン比は1.9g/g・Crであった。糸球体腎炎を疑い、全身麻酔下で開放腎生検を行った。病理組織診は、メサンギウム増殖、糸球体肥大および基底膜肥厚を示し、巣状分節性に糸球体硬化を認めた。同時期に施行した血行動態評価では心係数(CI) および中心静脈圧は各々2.55L/min/m2, 10mmHgであった。
症例2:24歳男性。診断は完全大血管転位症、房室中隔欠損、肺動脈閉鎖、無脾症候群。2歳でTCPCに到達した。顔面および下腿浮腫のため入院した。SpO2 は88%であった。ヘモグロビン濃度は21.3g/dlであった。尿素窒素27 mg / dL、血清クレアチン1.52 mg / dLと高値で、推定糸球体濾過率は49.3 mL/min/1.73m2、尿蛋白・クレアチニン比は1.76g/g・Crであった。全身麻酔下に開放腎生検を施行し、病理組織診から巣状分節性糸球体硬化症と診断した。同時期に施行した血行動態評価ではCI およびCVPは各々2.32L/min/m2, 12mmHgであった。
結論: Fontan腎症は、中心静脈圧の上昇に基づく糸球体のうっ血や肥大と、低酸素症と多血による血液粘度の上昇から生じる巣状分節性糸球体硬化症が組織学的な特徴である。
症例1: 34歳男性。診断は完全大血管転位症、房室中隔欠損、肺動脈狭窄、両側上大静脈、無脾症候群。2歳時にBTシャント術、13歳時にTCPCを施行した。30歳で腎梗塞、34歳で小脳梗塞および急性下肢動脈血栓症に罹患した。その際2型糖尿病と診断した。労作時呼吸困難、浮腫を主訴に受診した。経皮的酸素飽和度(SpO2) 92%であった。尿素窒素15 mg/dL血清クレアチン1.12 mg/dLと上昇し、尿潜血および蛋白が強陽性を示した。推定糸球体濾過率は62.3 mL/min/1.73m2、蛋白・尿クレアチニン比は1.9g/g・Crであった。糸球体腎炎を疑い、全身麻酔下で開放腎生検を行った。病理組織診は、メサンギウム増殖、糸球体肥大および基底膜肥厚を示し、巣状分節性に糸球体硬化を認めた。同時期に施行した血行動態評価では心係数(CI) および中心静脈圧は各々2.55L/min/m2, 10mmHgであった。
症例2:24歳男性。診断は完全大血管転位症、房室中隔欠損、肺動脈閉鎖、無脾症候群。2歳でTCPCに到達した。顔面および下腿浮腫のため入院した。SpO2 は88%であった。ヘモグロビン濃度は21.3g/dlであった。尿素窒素27 mg / dL、血清クレアチン1.52 mg / dLと高値で、推定糸球体濾過率は49.3 mL/min/1.73m2、尿蛋白・クレアチニン比は1.76g/g・Crであった。全身麻酔下に開放腎生検を施行し、病理組織診から巣状分節性糸球体硬化症と診断した。同時期に施行した血行動態評価ではCI およびCVPは各々2.32L/min/m2, 12mmHgであった。
結論: Fontan腎症は、中心静脈圧の上昇に基づく糸球体のうっ血や肥大と、低酸素症と多血による血液粘度の上昇から生じる巣状分節性糸球体硬化症が組織学的な特徴である。