[OR3-2] 当院における遺伝子診断されたNoonan症候群の心合併症の経過のまとめ
Keywords:Noonan症候群, 肺動脈狭窄, 肥大型心筋症
【背景】Noonan症候群は特有の心疾患を認める先天性奇形症候群である。近年その原因遺伝子が多く発見され、原因遺伝子と心疾患の関連性も徐々にわかってきた。しかし原因遺伝子ごとに心疾患がどのような経過をたどるかはっきりわかっていない。【方法】遺伝子診断され当院でFollowされており、心疾患に関して検討が可能な43例のNoonan症候群の患者の診療録をもとに後方視的に検討した。【結果】対象患者と心疾患をもつ患者の内訳()はPTPN11…24人(13人)、SOS1…6人(5人)、RIT1…5人(4人)、RAF1…3人(3人)、KRAS…2人(1人)、SOCS2…1人(1人)、BRAF…2人(1人)と原因遺伝子としてPTPN11の変異が多かった。心疾患の内訳はPTPN11…肥大型心筋症(HCM)6人/肺動脈狭窄(PS)6人/心房中隔欠損症(ASD)7人、SOS1…HCM3人/PS4人、RIT1…HCM2人/PS4人/ASD2人、RAF1…HCM2人/PS1人、KRAS…HCM1人/PS1人/ASD1人、SOCS2…PS1人/ASD1人、BRAF…PS1人であった。PSがある患者の中で肺動脈に介入が必要な症例は6人/18人であった。肺動脈に対して介入が必要だった6例の初診時の肺動脈血流速度(max)はVp=3.7±0.20m/sであり、全例初診時でVp=3.0m/s以上あった。初診時軽症のPSの症例で経過中にPSに対して介入が必要になった児はいなかった。経過中のPSの最大流速はPTPN11群でVp=3.0±0.32m/s、PTPN11以外の群でVp=3.4±0.29m/sで2群に有意差を認めなかった。ASDはいずれも小欠損であり、右心系の容量負荷をきたす例はなかった。HCMを合併したRAF1の患児2例のうち1例は死亡、1例は左室流出路狭窄が進行し狭窄解除術を施行したが、左室流出路狭窄とSAMによる高度のMRがみられた。【まとめ】PTPN11の遺伝子変異を持つ患者よりPTPN11以外の遺伝子変異をもつ患者で心疾患合併が多かった。PSに対して介入が必要な症例は初診時より比較的高度のPSを認めた。RAF1のHCM症例は治療に難渋している。