[OR3-4] 心室中隔欠損を伴う18トリソミーにおける肺動脈絞扼術後の血行動態的特徴
Keywords:18トリソミー, 肺動脈性肺高血圧, 右室拡張障害
【背景】心室中隔欠損を伴う18トリソミー(T18)では肺血管病変に伴う肺動脈性肺高血圧(PAH)が予後に関与している。肺動脈絞扼術(PAB)で生命予後が改善するが心内修復術と比較すると姑息術では依然、生命予後が悪いとの報告がある。【目的】T18でPAB後の血行動態を調査し、その特徴と問題点を明らかにし、生命予後に寄与する可能性のある血行動態的特徴を示す。【方法】2009年1月から2020年12月の間当院で心内修復術を施行したT18(25例)のうち、PABを先行して行い、心内修復術前に心臓カテーテル検査を施行し得た症例を対象とし、PABを先行し心内修復術を施行した染色体異常のないVSD症例(C)と比較した。【結果】T18:15例、C:16例。全例large VSDで、Cでは8例で大動脈縮窄症を合併していた。PAB時の日齢はT18:58.7+/-8.1日、C:44.4+/-7.9日、PABの周径は2群で有意な差はなかった。PAB時の体重はT18で有意に少なかった(2.1+/-0.66 vs 3.3+/-0.7 kg)。PAB後・心内修復術前の心臓カテーテル検査の結果では、T18で平均肺動脈圧(24.7+/-1.7 vs 18.8+/-1.7 mmHg)と肺血管抵抗値(3.7+/-0.4 vs 2.2+/-0.4 WU*m2)が有意に高く、右室圧、右室駆出率は2群間で有意な差はなかった。右室拡張末期圧がT18で有意に高く(10.8+/-0.7 vs 7.6+/-0.68 mmHg)、NTproBNPも高値であった(3503.5+/-649.9 vs 535.9+/-626.2 pg/ml)。T18で平均肺動脈圧と右室拡張末期圧は有意な正の相関を示した。【結論】T18では、適切な時期にPABを施行しても、PAHが残存し、肺血管抵抗が高く肺循環障害を呈している症例がある。さらにPAHに伴い、右室拡張末期圧が上昇し右室拡張障害を呈していた。