[OR30-4] 先天性横隔膜ヘルニアを合併した先天性心疾患症例の臨床成績の検討
キーワード:先天性横隔膜ヘルニア, 先天性心疾患, 単心室
【背景】先天性横隔膜ヘルニア(CDH)を合併した先天性心疾患(CHD)において、その治療成績は未だ不良である。【目的】CDHにCHDを合併した症例の予後を左右する因子を明らかにすること。【対象・方法】1981年から2020年までの当院のCDH全238例のうち、CHDを合併した21例を対象とした。合併したCHDは、PDAのみが4例、CoA3例、TF 3例、TGA 1例、機能的単心室5例、その他5例であった。生存症例をA群(n=8)、死亡した症例をD群(n=13)として、その患者特性と臨床経過を比較検討した。【結果】21例中20例が胎児診断症例であった。患者の在胎週数、出生体重、染色体異常または症候性疾患の有無に2群間で有意な差を認めなかった。その中で、CDHの重症度を、肺胸郭断面積比(LT比)を用い、LT<0.13を重症、LT≧0.13軽症として比較したが、両群に有意な差は認めず、患側の左右に関しても有意な差は認めなかった。しかし、CDHの修復術の有無に関しては、A群では全例で修復しており、D群では修復しなかった4例を認めた(P<0.05)。また、CHDに関しては、A群は全例で二心室疾患であり、現在治療中の1例を除いて全例definitive repairを終えていた。一方で、D群においては、二心室疾患を8例含んでいたが、単心室の5例は全例死亡していた(Glenn、Fontan到達なし)。また、D群では心臓手術を施行していない症例が13例中9例と多く、その中でCDH修復を行わなかった症例は4例あり、それぞれ生後0、0、5、112日で死亡していた。CDH修復術後38、63、108日で死亡した3症例は13トリソミーや18トリソミーを合併していた。その他2例はCDH修復直後の循環不全による死亡であった。【まとめ】CDHにCHDを合併した症例において、CDHの修復が可能でCHDのdefinitive repairを行えれば、長期生存も可能である一方で、機能的単心室や染色体異常合併例の予後は厳しいと考えられた。