The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Digital Oral

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

デジタルオーラルI(OR30)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患 2

指定討論者:馬場 志郎(京都大学医学部附属病院)
指定討論者:土井 庄三郎(国立病院機構災害医療センター)

[OR30-5] 18トリソミーにおける肺循環動態

畑井 恵理子, 宗内 淳, 渡邉 まみえ, 杉谷 雄一郎, 土井 大人, 古田 貴士, 小林 優, 江崎 大起 (JCHO九州病院 小児科)

Keywords:18トリソミー, 肺高血圧, コンプライアンス

【背景】Trisomy18(T18)では約90%に先天性心疾患を合併し、肺高血圧合併例も多い。最頻染色体異常のtrisomy21(T21)では、合併する先天性心疾患のみならず上気道狭窄による肺胞低酸素や肺動脈中膜菲薄化、血管収縮・弛緩不均衡などから肺高血圧を合併しやすいことが知られる一方、T18における肺循環の特徴はあまり知られていない。【目的】T18における肺循環パラメータとして肺動脈圧(PAP)、肺血管抵抗(Rp)とコンプライアンス(Cp)を明らかにする。【方法】2000年1月から2020年12月に心室中隔欠損治療(高肺血流型両大血管右室起始含む)のため入院したT18:20例、T21:88例、染色体異常のない対照:240例ににおいて、心臓カテーテル検査によりPAP、RpおよびCpを比較検討した、Rp=[(平均PAP)-(左房圧)]/肺血流量、Cp=[(収縮期PAP)-(拡張期PAP)]/肺動脈一回拍出量として体表面積補正した。【結果】3群において年齢と平均PAPにおいて有意差はなかった[年齢~T18:4.6(2.99―6.9)vs T21:2.8(1.9―4.0)vs 対照:2.9(1.6―3.2)か月, P=0.064、平均PAP~41(33―49) vs 35(309―41) vs 36(289―43)mmHg, P=0.121]。RpおよびCpに関しては、T18群と対照群は有意差はなかった。T18群とT21群において、Rpは2群間で有意差がなかったものの[2.0(1.6―3.3) vs 2.3(1.7―3.7)WU・m2, P=0.386]、CpはT18群で有意に高値であった[3.5(2.3―5.5) vs 2.3(1.6―3.1)mmHg/mL・m2, P=0.007]。【考察】T18の肺循環はT21群でみられるような特徴的な低Cpの肺循環ではなく、対照群と同等の肺循環指標であった。T18では生後間もなく高肺血流の臨床像をたどり、CHD外科治療により速やかに肺高血圧が改善すると考えられる。