[OR31-6] 転写因子Nr4a1は酸素応答性に発現が増加し、ラット動脈管の解剖学的閉鎖を促進する可能性がある
キーワード:動脈管, Nr4a1, 酸素感受性
【背景】動脈管は生後の酸素濃度上昇に伴い機能的・解剖学的に閉鎖するが肺動脈は拡張する。酸素による機能的閉鎖の機序はよく研究されている一方、酸素が内膜肥厚などの解剖学的閉鎖に果たす役割はほとんど解明されていない。
【目的】酸素反応性に動脈管の解剖学的閉鎖が起こる分子機序の解明を目的とした。
【方法と結果】胎生19日(e19),21日(e21),生後2日(d2)のWistarラット動脈管(DA), 肺動脈(PA), 大動脈(AO)と、e21のDAとAOの培養平滑筋細胞(SMC)を使用した。Agilent SurePrint G3 Rat GE 8X60K, V2 Microarrays (Agilent®)で網羅的遺伝子解析を行い、d2DA/e21DA>2.0 かつd2PA/e21PA<-2.0(生後DAで発現増加、PAで発現低下)の遺伝子は19個存在した。これらを酸素反応性候補遺伝子としRT-PCRで発現量を確認した。先行研究結果を踏まえ転写因子Nr4a1に注目しそのDAにおける役割を検討した。
Nr4a1はRT-PCRで生後にDAで発現が増加しPAで低下することが確認出来た。AOでは出生前後で発現に有意な変化はなかった。e21のDAとAOの SMCを、酸素濃度の異なる3群(A:4%で保持、B: 4%で48時間培養後21%で2時間経過、C: 4%で48時間培養後21%で24時間経過)で培養し、RT-PCRで Nr4a1発現量を測定した。B群とC群は、A群に比べNr4a1発現量がDAで有意に増加したがAOでは有意差を認めなかった。さらにプロスタグランジンE1(PGE1)刺激下で、e21DA SMCにNr4a1阻害剤DIM-C-pPhOH, DIM-C-pPhCO2Meを1,5,10[μM]投与し、上清のヒアルロン酸(HA)量を測定した。PGE1刺激下のHA合成は、Nr4a1阻害剤により濃度依存性に抑制された。
【考察】転写因子Nr4a1は酸素濃度上昇に応じて発現が増加し酸素感受性を司る因子と考えられた。またPGE1刺激下でのHA合成はNr4a1阻害剤で抑制され、Nr4a1はPGE -HAシグナル経路に関与している可能性がある。
【結論】転写因子Nr4a1はラット動脈管で出生後増加し、解剖学的閉鎖に寄与する可能性が示唆された。
【目的】酸素反応性に動脈管の解剖学的閉鎖が起こる分子機序の解明を目的とした。
【方法と結果】胎生19日(e19),21日(e21),生後2日(d2)のWistarラット動脈管(DA), 肺動脈(PA), 大動脈(AO)と、e21のDAとAOの培養平滑筋細胞(SMC)を使用した。Agilent SurePrint G3 Rat GE 8X60K, V2 Microarrays (Agilent®)で網羅的遺伝子解析を行い、d2DA/e21DA>2.0 かつd2PA/e21PA<-2.0(生後DAで発現増加、PAで発現低下)の遺伝子は19個存在した。これらを酸素反応性候補遺伝子としRT-PCRで発現量を確認した。先行研究結果を踏まえ転写因子Nr4a1に注目しそのDAにおける役割を検討した。
Nr4a1はRT-PCRで生後にDAで発現が増加しPAで低下することが確認出来た。AOでは出生前後で発現に有意な変化はなかった。e21のDAとAOの SMCを、酸素濃度の異なる3群(A:4%で保持、B: 4%で48時間培養後21%で2時間経過、C: 4%で48時間培養後21%で24時間経過)で培養し、RT-PCRで Nr4a1発現量を測定した。B群とC群は、A群に比べNr4a1発現量がDAで有意に増加したがAOでは有意差を認めなかった。さらにプロスタグランジンE1(PGE1)刺激下で、e21DA SMCにNr4a1阻害剤DIM-C-pPhOH, DIM-C-pPhCO2Meを1,5,10[μM]投与し、上清のヒアルロン酸(HA)量を測定した。PGE1刺激下のHA合成は、Nr4a1阻害剤により濃度依存性に抑制された。
【考察】転写因子Nr4a1は酸素濃度上昇に応じて発現が増加し酸素感受性を司る因子と考えられた。またPGE1刺激下でのHA合成はNr4a1阻害剤で抑制され、Nr4a1はPGE -HAシグナル経路に関与している可能性がある。
【結論】転写因子Nr4a1はラット動脈管で出生後増加し、解剖学的閉鎖に寄与する可能性が示唆された。