第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

川崎病・冠動脈・血管

デジタルオーラルI(OR32)
川崎病・冠動脈・血管 1

指定討論者:三谷 義英(三重大学大学院医学系研究科小児科学)
指定討論者:小林 徹(国立成育医療研究センター)

[OR32-1] 川崎病難治例を予測するバイオマーカー -テネイシンC、ペントラキシン3-

吉兼 由佳子1, 深澤 隆治2, 廣野 恵一3, 高月 晋一4, 小林 奈歩5, 今中(吉田) 恭子6, 勝部 康弘2 (1.福岡大学 西新病院 小児科, 2.日本医科大学 医学部 小児科, 3.富山大学 医学部 小児科, 4.東邦大学 医学部 小児科, 5.京都第二赤十字病院 小児科, 6.三重大学 医学系研究科 修復再生病理学)

キーワード:重症川崎病, テネイシンC, ペントラキシン3

【背景】川崎病は特に治療抵抗性の難治例で冠動脈瘤合併リスクが高いことが知られており、重症川崎病患者に対する治療戦略の開発が課題である。現在のところIVIG不応例予測スコアは知られているが、3rd line以上を必要とする難治例を予測する方法は未だ開発されていない。そこで我々は本学会の承認を得てバイオマーカー研究班を立ち上げた。【目的】システマティックレビューにて選定したバイオマーカー、テネイシンC(TN-C)とペントラキシン3(PTX3)で治療抵抗性の川崎病を予測できるかを検証する。【方法】対象は川崎病と診断された入院患者295名。A群(n=173);初期治療IVIG単独のみで治療を終えた、B群(n=106);ステロイド併用による初期強化療法を行ったor/and 2nd lineを要した、C群(n=14);3rd line以上を要した群に分類し、各バイオマーカーを測定した(中央値[25%-75%])。【結果】<TN-C>A群 101 [66.8-152] ng/ml、B群113 [78.6-177] ng/ml、C群 183 [127-206] ng/ml。C群のTN-C値はA,B群に比し有意に高値だった(p<0.01);カットオフ値142 ng/ml(Area under the Curve: AUC=0.80)。<PTX3>A群 14.7 [9.1-24.0] ng/ml、B群27.9 [14.6-39.0] ng/ml、C群 57.9 [37.7-114] ng/ml。C群のPTX3値はA,B群に比し有意に高値だった(p<0.01);カットオフ値35.1 ng/ml(AUC=0.86)。両バイオマーカー共にカットオフ値以上だと感度79%、特異度92%で3rd line以上を必要とした。【考察】バイオマーカーTN-C、PTX3を用いて治療抵抗性の川崎病難治例を予測できる可能性が示唆された。