[OR34-1] 川崎病診断における複数回の心電図検査の有用性
Keywords:心電図, 川崎病, T波
【背景】川崎病急性期にはPR延長、ST変化、QT延長、T波異常の異常所見をしばしば認める。しかし川崎病の特異的な所見ではなく、川崎病急性期にこれらの心電図異常の判断を行うことは困難である。【目的】川崎病の診断における心電図の有用性を検討する。【方法】対象は、2017年12月から2021年1月まで、当院に入院した川崎病患者187名中、川崎病診断前に2回の心電図検査を施行した初発群12例(男:女=10:2)と再発群9例(男:女=4:5)の計21例。連続する2回の心電図検査を比較しPR延長、ST変化、QT延長、T波異常に関し, 診療録により後方視的に検討した。【成績】1回目の心電図検査は、初発群で、2~6病日(中央値 5病日)、再発群では発症-2~-288日(中央値 -74日)に施行した。2回目の心電図検査は、初発群で3~9病日(中央値 6病日)、再発群では、2~5病日(中央値 3病日)に施行した。。1回目と2回目の心電図を比較してPRの延長は9例(43%)に認め、最大のPR延長は 142msecから159msec。QTc(Fridericia) の延長は9例(43%)、最大0.373から0.496、 ST上昇は1例に認めた。T波の変化は19例(90%)に認め、II, III, aVf, V2-5誘導のT波の陰転、陽転または平定化は18例、T波上のノッチを1例に認めた。【考察】すべての心電図異常は治療後には回復していた。川崎病急性期にはT波の変化を高率に認めた認めた。一過性のT波の変化は、若年性T波と言われるが、II, III, aVf誘導の一過性のT波の陰転または陽転、V2-5誘導の一過性のT波の陽転の機序は不明であった。【結論】川崎病の治療前の急性期において、心電図上のT波の陰転、陽転または平定化を高率に認めた。心電図検査は複数回行うことにより、心電図異常が明らかになり、川崎病の急性期診断の参考条項としても有用性がある。