[OR34-2] 川崎病患児における冠動脈起始異常の頻度
Keywords:冠動脈, 心エコー, AAORCA
【背景】冠動脈起始異常の頻度は成人領域では約1%とされている。このうち、左冠動脈右バルサルバ洞起始(AAOLCA)は0.03%、右冠動脈左バルサルバ洞起始(AAORCA)は0.23%と報告されている。しかし、成人領域では有症状者に施行された画像検査が中心となっており、バイアスが含まれている可能性がある。一方、小児科領域では川崎病に罹患した際には冠動脈の心エコーを必ず施行することから、成人よりも心エコーで冠動脈を評価する機会が多いが、冠動脈起始異常についての報告は少ない。【目的】1.川崎病で心エコーによる冠動脈評価を行った症例において、冠動脈起始部が明確に描出できる頻度を左右の冠動脈において後方視的に検討。2.冠動脈起始異常の頻度を検討。【方法】対象:2009年4月~2020年12月に当院で川崎病もしくは川崎病の疑いで心エコー検査を施行された患者。除外項目:先天性短絡疾患の合併。方法:画像サーバーに保存されている心エコー画像(動画と静止画)を後方視的に以下の二項目について評価:1.左右冠動脈起始部の明確な描出記録の有無。2.左右冠動脈起始異常の有無。【結果】対象:518例(男:女=313:205、のべ検査回数:3593回、検査時年齢:中央値3歳7か月(範囲:日齢23~24歳))。1.冠動脈起始部の画像を確認できない症例数:右冠動脈:72(13.9%); 左冠動脈:36(6.9%)(P<0.001)。2.冠動脈起始異常:5例(AAOLCA=0例、AAORCA=3例;0.58%、high take-off=2例;0.39%)【結論】右冠動脈起始部が左冠動脈よりも有意に描出が困難であった。これは起始部の走行が心エコーにおいて解像度の低い方位方向と平行に走行していることが原因と考えられた。また、冠動脈起始異常の頻度は0.97%であった。このうちAAOLCAは0%、AAORCAは0.58%であった。