The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Digital Oral

川崎病・冠動脈・血管

デジタルオーラルI(OR34)
川崎病・冠動脈・血管 3

指定討論者:池田 和幸(京都府立医科大学小児科)
指定討論者:濱田 洋通(千葉大学大学院医学研究院 小児病態学)

[OR34-3] 心エコー検査における川崎病冠動脈瘤リスク因子及びその出現時期の検討

阿久澤 大智, 渡辺 健, 沼田 寛, 桝野 浩彰, 荒井 篤 (田附興風会医学研究所北野病院 小児科)

Keywords:川崎病, 冠動脈瘤, 大動脈弁逆流

【背景】川崎病診療は冠動脈瘤(CAA)の予防が重要であり、CAA予測因子は有用である。我々は心エコーの際に冠動脈以外に基本的所見を評価しており、これに注目して早期のCAA予測因子について検討した。【方法】対象は2017年4月~2020年3月に入院した川崎病169例である。まずCAAの定義はガイドラインに基づき、その発生率、重症度、発生時期を調べた。つぎにCAA合併群と非合併群を比較して、発症時月齢、性別、初回治療不応性、群馬スコア、初回治療までの期間、再発の有無、血液検査所見:CRP・D-dimer・Albumin、心エコー所見:三尖弁閉鎖不全・肺動脈弁閉鎖不全・僧帽弁閉鎖不全(MR)・大動脈弁閉鎖不全(AR)・心嚢液(PE)・左室拡張末期径(LVDd)・左室駆出率、について単変量解析を行った。心エコー所見については有意差を得た所見の予測性を評価するため、その出現時期とCAA径が最大となる時期(CAAmax日)を多群間検定で比較した。【結果】CAAの発生率は、1ヶ月以内に瘤が退縮した一過性拡大例25例(14.8%)、1ヶ月以上瘤が残存した8例(4.7%)の合計33例(19.5%)であり、内訳は小瘤29例、中等瘤3例、巨大瘤1例であった。CAAmax日は平均9.6日であった。単変量解析で、発症時6ヶ月未満および5歳以上、初回治療不応例にCAAが多く、CAA群で初回治療までの期間が短かった。またPE、AR、LVDdがCAAと関連し、これらは多変量解析でも有意あった。PEの感度69.7%、特異度67.7%、ARの感度69.7%、特異度83.1%、LVDd≧110%の感度42.4%、特異度81.6%であった。多群間検定でPEはARよりも早く、ARはCAAmax日よりも早く出現した。なおLVDd≧110%の時期とCAAmax日には有意差がみられなかった。【結論】心エコー所見におけるCAA予測因子としてPE、ARが示された。PEはより早期に出現し、ARは特異度および感度に優れていた。PEのある川崎病は慎重な経過観察を行い、ARが出現した時点で特異的治療が考慮される。