[OR34-4] 頸部造影CT検査による川崎病と他疾患鑑別のアルゴリズム
Keywords:川崎病, 頸部造影CT検査, 咽後浮腫
【背景】急性疾患において発熱と頚部リンパ節腫脹の2症状がみられる時点で、川崎病、膿瘍疾患および他の炎症疾患の鑑別が必要となることがある。この際に当科では造影CT検査を行い、リンパ節所見の他に咽後浮腫に注目している。【対象、方法】対象は当科で2015年3月から2021年1月に入院した急性疾患のうち頸部造影CT検査を実施した87例である。このうち最終的な診断は、川崎病29例、膿瘍疾患30例、その他炎症疾患28例である。これら3群で、CTの客観的所見であるリンパ節の辺縁造影増強、多房性および咽後浮腫の有無を後方視的に検討した。【結果】辺縁造影増強は、川崎病1/29例(3%)、膿瘍疾患30/30例(100%)、他炎症疾患0/28例(0%)であり、この所見があれば膿瘍疾患と診断できる。多房性は、川崎病29/29例(100%)、膿瘍疾患24/30例(80%)、他炎症疾患17/28例(57%)であり、この所見が川崎病に特有とはいえない。咽後浮腫は、川崎病26/29例(90%)、膿瘍疾患18/30例(60%)、他炎症疾患7/28例(25%)であり、この所見があれば川崎病および膿瘍疾患の可能性が高い。従って、まず辺縁造影増強で膿瘍疾患と推定し、次に咽後浮腫があれば川崎病の可能性が高く、両者がなければ他の炎症疾患であると推定される。なお川崎病では、CTは第2病日から第9病日の間に実施され、症状が発熱のみは5/29例(17%)、発熱と頸部リンパ節腫脹の2症状は17/29例(59%)、3から4症状であったのは5/29例(17%)であった。したがって頸部造影CT検査により、より早い時期に、より症状の少ないうちに(不全型を含む)川崎病を診断でき、川崎病の特異的治療が開始できる。【結論】川崎病と膿瘍疾患、他炎症疾患を鑑別するのに、辺縁造影増強、咽後浮腫の有無が有用である。