[OR34-5] 川崎病重症例に対して初期治療としてIVMPを併用した場合のソルメドロール投与回数の検討
キーワード:川崎病, IVMP, 重症例
【背景】当科ではIVIGに2回不応の場合に, 3rd lineで IVMPとしてソルメドロールを3回投与していた。PEACOCK以降は小林スコア5点以上かつ総ビリルビン値1mg/dL以上の場合, 初期治療はIVIGとIVMPの併用となり, ソルメドロール投与は原則1回だが3回でも可としている。重症例にIVIGとIVMPを併用するため, ソルメドロール投与1回は少ない可能性があり, 2019年10月以降3回とした。【目的】初期治療として, IVMPのソルメドロール投与回数の違い(1回 vs 3回)を比較検討する。【方法】対象は2017年1月1日から2020年12月31日までに当院に入院した川崎病293例のうち, 初期治療としてIVIGとIVMPの併用を行った患者24例とした。これらの症例における不応例の数, 転帰(解熱までの時間, CRP, AST, ALT, TB, DB, 白血球数, 好中球数, 単球数の推移), 冠動脈病変の合併を診療録から後方視的に検討した。【結果】ソルメドロール投与1回(以下IVMP1回群)は17例, 3回(以下IVMP3回群)は7例だった。不応率に有意差を認めなかった(5例 29% vs 2例 29%, p=1.01)。IVMP1回群は1例で3rd lineを要した。IVMP1回群に比してIVMP3回群は治療開始1週後の白血球数, 好中球数の増加数が有意に小さかった(+6200 vs +200, p=0.047, +2410 vs -2212, p=0.02)。また両群の不応例に限れば, 有意差はないがTB, AST, ALTの治療開始1週後の低下率はIVMP3回群が大きい傾向があった(-75% vs -85%, -75% vs -90%, -57% vs -88%)。いずれの群も冠動脈病変の合併はなかった。【考察】ステロイドは白血球数の増加作用ががあるにもかかわらずIVMP3回群の方が白血球数, 好中球数を抑えられており, 不応例においては不応予測項目の低下率が大きく, より強い抗炎症効果を得ている可能性がある。【結論】IVMPの回数で不応率に有意差は出なかったが, 不応例の2nd line以降の経過に,より強い抗炎症作用を発揮している可能性があり, ソルメドロールは3回投与した方がよい。