[OR35-1] 学校心臓検診2次検診抽出のガイドライン(2019年改定)の接合部調律診断に与える影響
Keywords:学校心臓検診, ガイドライン, 接合部調律
【はじめに】学校心臓検診ガイドラインが2016年に改定され、接合部調律の取扱いが大きく変更、精検医療機関への負担が増加することが懸念された。2019年に学校心臓検診2次検診抽出のガイドラインが改定され、接合部調律の取扱いが再度変更、その影響について考察したので報告する。【方法】2020年度大津市学校心臓検診より抽出した900名(小学校1年346名、4年357名、中学校1年197名)を対象とし、新旧ガイドラインによる接合部調律の頻度について検討した。【結果】旧ガイドラインにおける接合部調律の頻度は4.0%(小1)、7.0%(小4)、4.6%(中1)であった。接合部調律の頻度、心室拍数の分布について、前回報告した2010-2013年度、2016-2019年度と比較したが大きな乖離はなかった。新ガイドラインでは房室接合部調律と診断される症例はなく、全例異所性心房調律と診断された。【考察】学校心臓検診2次検診抽出のガイドラインの改定により、従来の接合部調律は房室接合部調律と異所性心房調律に分けられた。P波とQRS波の位置関係により両者を鑑別し、異所性心房調律はB判定、接合部調律は心室拍数60回/分を超える場合に促進房室接合部調律として上室頻拍に準じた扱いとした。この見直しにより、従来接合部調律と診断されていた症例のほとんどは、異所性心房調律としてB判定となった。精検医療機関の負担軽減の観点からは、今回の改定は意味があると考えられる。しかしながら、房室結節近傍にあるペースメーカ細胞と心房の他の部位に存在するペースメーカ細胞が根本的に異なるかという点には疑問が残り、さらなる検証が必要と考えられた。