[OR35-2] 学校心臓検診心電図は内科検診心電図で発見される異常の早期発見に繋がるか?
キーワード:学校心臓検診, 心電図, 内科検診
[はじめに]学校心臓検診心電図は学校心臓検診において重要な位置を占めており、先天性心疾患や致死性不整脈の発見を主な目的としている。一方、内科検診における心電図は生活習慣病による循環器疾患発見のための重要な手段として考えられている。演者は学校心臓検診に従事し学校心臓検診心電図を読影する傍ら、当院の健診センターの検診心電図の全例を読影している。学校心臓検診心電図と内科検診心電図において抽出される異常所見の違いについて比較し、内科検診心電図で発見される異常所見の早期発見手段として学校心臓検診心電図が有用であるかを検討した。[方法]2009年から2020年までの大津市学校心臓検診の小学生6999人、中学生2535人、2021年の滋賀病院健診センター内科検診3140人の検診心電図において、頻度の高い異常所見と管理状況について比較検討した。[結果]接合部調律:学校検診(4.02%)、内科検診(2.29%)のいずれも頻度が高いが、内科検診では経過観察のみ。平定化・陰性・二相性T波、ST低下:学校検診(0.92,0.07)ではV4陰性T波などの器質疾患発見を主眼とするものが主だが頻度は少ない。内科検診(6.24,6.78)では肥大や心筋梗塞などによるものが多く、頻度も高い。心室高電位:左室高電位の頻度が学校検診(0.79)に比べて内科検診(9.04)で非常に高いがほとんどが経過観察。右脚ブロック:学校検診(2.13)ではASDを念頭に要精査、内科検診(5.41)では頻度は高いが精査はされない。心房細動、異常Q波:内科検診(0.67, 1.15)では致死的疾患に繋がることから精査が必要。学校検診では稀(0.00, 0.29)。QT延長:学校検診(0.78)に比べて、内科検診(0.06)での異常検出はほとんどない。[考察]学校心臓検診心電図は、内科検診心電図で発見される異常の早期発見には直接繋がらない可能性が高い。また、小児期の異常心電図所見が、内科検診で精査に抽出されることは少なく、小児期の見落としを防ぐ工夫が必要である。