[OR37-1] 二心室修復を目指した両側肺動脈絞扼術の治療成績と問題点
Keywords:両側肺動脈絞扼術, 二心室修復, 問題点
【目的】当院で二心室修復(BVR)を目指して両側肺動脈絞扼術(BPAB)を施行した症例の治療成績及び術後問題点を検討する。【方法】2011年1月から2020年12月までに当院で将来的なBVRを念頭に初回にBPABを施行した22例(CoA/VSD 9, IAA/VSD 5, TAC 3, TAC/IAA 1, DORV/CoA 2, DORV/IAA 1, HLHS variant 1)を後方視的に観察。BPABは1.5mm幅のePTFE stripを用いて行った。BPABの適応はductal shock、低出生体重児(LBWI)、総動脈幹症(TAC)、subASあるいはborderline LV、ASO+arch repairを要する心形態。【結果】22例に計29回のBPABを施行した。手術時日齢2-16d(median 7d)、手術時体重 1218-3460g(2500g未満のLBWI 12例、1500g未満のVLBWI 4例)、術前ductal shock 4例。 BPAB術後経過観察期間は4-67ヶ月。絞扼再調整を5例7回に要し、うち4例はLBWI。20例が第二期手術に到達(BVR 16, palliative RVOTR 2, Norwood 2)、1例がBVR待機中。第二期手術までに消化管穿孔でLBWIのCoA/VSD 1例を失った。また、第二期手術後のBVR待機中に1例を肺炎で失った(borderline LVのNorwood後)。18例が1-50ヶ月時にBVR(Rastelli 3, Rastelli + Arch repair 1, CoA/VSD repair 7, IAA/VSD repair 4, staged Yasui 1, ASO+Arch repair 2)に到達し、BVR術後の早期死亡及び遠隔死亡はともになし。BVR術後の7例にBPAB解除後のPSに対しカテーテルインターベンションを要した(うちLBWI 5, TAC 3)。術後遠隔期再手術として、1例に再VSD閉鎖+肺動脈形成、2例に大動脈吊り上げ術、1例に横隔膜縫縮術を要した。【結論】BVRを目指したBPABを施行した症例はLBWIが多く、第二期手術までに再調整手術を要した症例が多かったが、BVR到達率は高く治療成績も満足のいくものであった。しかし、BVRまでの待機期間の長いLBWIやTACでは特に術後の遺残肺動脈狭窄や左気管狭窄などに対する治療介入が多く、BPABの素材やBVR手術時期などが今後の検討課題である。