[OR37-3] 先天性心疾患の外科治療における In Vivo Tissue-Engineered Vascular Graftの有用性
Keywords:tissue engineering, 自己心膜, 外科治療
【目的】我々は生体内組織形成技術に基づいた、in vivo tissue-engineered vascular graft (in vivo TEVG)を倫理審査会承認下に先天性心疾患の外科治療に応用してきた。治療成績および組織学的、力学的特性をもとにin vivo TEVGの有用性を検討した。【方法・対象】2014年7月から2021年1月にin vivo TEVG を使用した7例(PA形成6例、弁形成1例)。シリコンチューブ製の鋳型を皮下組織内に埋め込み、待機期間を経てin vivo TEVG を作成、手術時に摘出し使用。PA形成6例のうち4例は主要体肺動脈側副血行路(MAPCA)症例、unifocalization後の根治術時または段階的手術時に、1例は両大血管右室起始症でFontan手術時に、1例は大動脈縮窄複合で段階的手術時にin vivo TEVGによるPA形成を施行。弁形成例は完全大血管転移症3型、Half-Turned Truncal Switch Operation後のmoderate ARに対してin vivo TEVGによる大動脈弁形成(AVP)を施行。【結果】in vivo TEVG鋳型埋め込み時の年齢、体重、待機期間の中央値はそれぞれ1.7歳(1.3-8.0歳)、8.7kg(7.3-22.3kg)、11ヶ月(6-26ヶ月)。PA形成例はPA狭窄部をin vivo TEVG patchで拡大形成した。MAPCAの1例で気管の圧排による再狭窄を認め、再度in vivo TEVGによるPA形成を施行。その後再狭窄なく経過。その他の5例は術後および遠隔期の造影CTで瘤化や再狭窄なし(最長4年)。AVP例は左冠尖、右冠尖を自己心膜、無冠尖をin vivo TEVGを用いて弁尖延長。術後および術後4ヶ月時の経胸壁心エコーでARはtrivial-mildに改善。組織学的評価ではin vivo TEVGは主にコラーゲン線維で構成され、壁厚は平均200μm。力学的特性は縫合糸保持強度は平均2.01N、破裂圧力は平均3057mmHgであった。【考察】in vivo TEVGを用いた外科治療の成績は良好であり、組織学的、力学的特性では十分な強度が示された。in vivo TEVGは多段階手術が必要となる先天性心疾患の外科治療において、自己心膜の代替組織となりうる。