The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

外科治療

デジタルオーラルI(OR37)
外科治療 2

指定討論者:小出 昌秋(聖隷浜松病院 心臓血管外科)
指定討論者:白石 修一(新潟大学医歯学総合病院)

[OR37-3] 先天性心疾患の外科治療における In Vivo Tissue-Engineered Vascular Graftの有用性

中辻 拡興1, 山岸 正明1, 前田 吉宣1, 板谷 慶一1, 浅田 聡1, 藤田 周平1, 本宮 久之1, 山下 英次郎1, 永瀬 崇1, 神田 圭一2, 夜久 均2 (1.京都府立医科大学 小児医療センター 小児心臓血管外科, 2.京都府立医科大学 心臓血管外科)

Keywords:tissue engineering, 自己心膜, 外科治療

【目的】我々は生体内組織形成技術に基づいた、in vivo tissue-engineered vascular graft (in vivo TEVG)を倫理審査会承認下に先天性心疾患の外科治療に応用してきた。治療成績および組織学的、力学的特性をもとにin vivo TEVGの有用性を検討した。【方法・対象】2014年7月から2021年1月にin vivo TEVG を使用した7例(PA形成6例、弁形成1例)。シリコンチューブ製の鋳型を皮下組織内に埋め込み、待機期間を経てin vivo TEVG を作成、手術時に摘出し使用。PA形成6例のうち4例は主要体肺動脈側副血行路(MAPCA)症例、unifocalization後の根治術時または段階的手術時に、1例は両大血管右室起始症でFontan手術時に、1例は大動脈縮窄複合で段階的手術時にin vivo TEVGによるPA形成を施行。弁形成例は完全大血管転移症3型、Half-Turned Truncal Switch Operation後のmoderate ARに対してin vivo TEVGによる大動脈弁形成(AVP)を施行。【結果】in vivo TEVG鋳型埋め込み時の年齢、体重、待機期間の中央値はそれぞれ1.7歳(1.3-8.0歳)、8.7kg(7.3-22.3kg)、11ヶ月(6-26ヶ月)。PA形成例はPA狭窄部をin vivo TEVG patchで拡大形成した。MAPCAの1例で気管の圧排による再狭窄を認め、再度in vivo TEVGによるPA形成を施行。その後再狭窄なく経過。その他の5例は術後および遠隔期の造影CTで瘤化や再狭窄なし(最長4年)。AVP例は左冠尖、右冠尖を自己心膜、無冠尖をin vivo TEVGを用いて弁尖延長。術後および術後4ヶ月時の経胸壁心エコーでARはtrivial-mildに改善。組織学的評価ではin vivo TEVGは主にコラーゲン線維で構成され、壁厚は平均200μm。力学的特性は縫合糸保持強度は平均2.01N、破裂圧力は平均3057mmHgであった。【考察】in vivo TEVGを用いた外科治療の成績は良好であり、組織学的、力学的特性では十分な強度が示された。in vivo TEVGは多段階手術が必要となる先天性心疾患の外科治療において、自己心膜の代替組織となりうる。