[OR37-4] 3弁付きePTFE conduitを用いたRoss手術の右室流出路遠隔期成績
Keywords:Ross手術, 右室流出路, 遠隔期再手術
【目的】先天性大動脈弁疾患に対するRoss(Ross-Konno)手術は成長・抗凝固療法の点で非常に有用な術式とされているが、本手術は大動脈弁のみでなく肺動脈弁にも介入するため2弁疾患となるとして敬遠される施設もある。今回、当院で作成した3弁付きePTFE conduitを使用したRoss手術の右室流出路に注目した遠隔期成績を多施設共同研究により検討した。
【対象】2001年から2019年に当施設で作成した導管を初回Ross手術に使用した本邦65施設における108例に関してアンケート調査を行った。手術時の年齢/体重の中央値は11.4歳(1ヶ月-33.7歳)/33.5kg(3.6kg-87.0kg)であった。使用した導管径の中央値は22mm(12mm-24mm)であった。術前診断としてはAR 17例、AS 44例、ASR 43例、IE 2例、LVOTO 2例であった。また、合併手術はKonno法による弁輪拡大 27例、CABG 2例、MVP 5例、AVP 1例、TVP 2例、VSD closure 2例、大動脈弓再建 1例、上行大動脈拡大 1例であった。
【結果】経過観察期間の中央値は3.8年(4日-15.6年)。早期死亡はLOS 2例、感染1例の計3例。遠隔期死亡は交通事故1例、脳出血1例の計2例。再手術は12例に行われ、右室肺動脈導管交換は9例に施行されたがそのうち5例が弁硬化に伴う狭窄および逆流によるものであり、2例は導管自体に問題ないものの合併術式のために交換した症例であった。2例は成長による相対的狭窄により交換となった。また、大動脈弁および基部病変による再手術は2例に行われた。カプランマイヤー曲線による再手術回避率は5年で95.4%、10年で81.4%であった。
【結語】上記の再手術回避率は既知の文献と比較しても良く、当院の3弁付きePTFE conduitを使用したRoss手術の遠隔期成績は良好であった。ePTFE conduitの改良により、再手術回避率は改善の余地が期待できる。本術式は2弁への介入手術となるが、右室流出路の観点からは乳児や若年女性の大動脈弁疾患においては第一選択術式として妥当である。
【対象】2001年から2019年に当施設で作成した導管を初回Ross手術に使用した本邦65施設における108例に関してアンケート調査を行った。手術時の年齢/体重の中央値は11.4歳(1ヶ月-33.7歳)/33.5kg(3.6kg-87.0kg)であった。使用した導管径の中央値は22mm(12mm-24mm)であった。術前診断としてはAR 17例、AS 44例、ASR 43例、IE 2例、LVOTO 2例であった。また、合併手術はKonno法による弁輪拡大 27例、CABG 2例、MVP 5例、AVP 1例、TVP 2例、VSD closure 2例、大動脈弓再建 1例、上行大動脈拡大 1例であった。
【結果】経過観察期間の中央値は3.8年(4日-15.6年)。早期死亡はLOS 2例、感染1例の計3例。遠隔期死亡は交通事故1例、脳出血1例の計2例。再手術は12例に行われ、右室肺動脈導管交換は9例に施行されたがそのうち5例が弁硬化に伴う狭窄および逆流によるものであり、2例は導管自体に問題ないものの合併術式のために交換した症例であった。2例は成長による相対的狭窄により交換となった。また、大動脈弁および基部病変による再手術は2例に行われた。カプランマイヤー曲線による再手術回避率は5年で95.4%、10年で81.4%であった。
【結語】上記の再手術回避率は既知の文献と比較しても良く、当院の3弁付きePTFE conduitを使用したRoss手術の遠隔期成績は良好であった。ePTFE conduitの改良により、再手術回避率は改善の余地が期待できる。本術式は2弁への介入手術となるが、右室流出路の観点からは乳児や若年女性の大動脈弁疾患においては第一選択術式として妥当である。