The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Digital Oral

外科治療遠隔成績

デジタルオーラルI(OR39)
外科治療遠隔成績

指定討論者:帆足 孝也(国立循環器病研究センター 小児心臓外科)
指定討論者:芳村 直樹(富山大学)

[OR39-2] 当院における学童期以前の大動脈弁疾患(AD)に対するRoss (Ross-Konno) 手術症例の長期成績と再手術の検討

秋山 章, 木村 成卓 (慶應義塾大学 外科 (心臓血管))

Keywords:Ross手術, 大動脈弁疾患, 学童期以前

【目的】Ross手術は移植した自己肺動脈弁の弁輪の成長が期待できることから、若年者のADに対する有用な治療法とされている。一方で、右室流出路(RVOT)に新たな弁膜症を作り出してしまうこと、新たな大動脈基部の経年的な拡張を認めることが指摘されている。今回、当院において学童期以前(12歳以下)のADに対して施行されたRoss手術の遠隔成績について検討した。【対象】1998年1月から2013年12月の間に当院にてRoss手術が施行された8例について検討した。【結果】フォローアップ期間の中央値は201(79 - 248)か月、手術時年齢の中央値は5(1 - 9)歳であった。過去に大動脈弁に対して外科的加療にて介入されていた症例は1例で術式はAortic valvotomyであった。大動脈弁の病態は大動脈弁狭窄症(AS)が5例、混合型(mixed)が3例で、弁尖の数は二尖弁が5例、三尖弁が3例であった。併存する心大血管疾患を持つのは3例であり、Shone complexが2例、大動脈縮窄症のみが1例であった。併施手術は2症例で行われ、VSD closureが2例、Mitral valvotomyが1例であった。早期死亡は認めなかった。生存率は10年生存率と20年生存率ともに87.5 ± 11.7 %であった。大動脈弁、大動脈弁基部への再手術による介入は認めず、RVOTに対する再手術(全再手術)回避率は10年と20年でそれぞれ66.7 ± 19.2 %、33.3 ± 19.2 %であった。最終経胸壁心臓超音波検査(TTE)では大動脈弁閉鎖不全症(AR)はGr0が5例、Gr1が1例、Gr2が1例。EFは63.1%(53.1 - 89.7%)、大動脈弁輪径、valsalva洞径、STJ径のZ scoreの中央値はそれぞれ、0.37(-1.45 - 2.07)、4.00 (-0.68 - 5.73)、4.06 (0.83 - 5.86)であり、peak PGの中央値は4 (3-11) mmHgであった。【結論】学童期以前のADに対するRoss手術は有用である。一方、RVOT機能や、大動脈基部の拡大傾向の経過観察が重要である。