[OR39-3] 機能的単心室に伴う房室弁逆流の外科治療成績
Keywords:単心室, 房室弁逆流, フォンタン
【背景】機能的単心室の房室弁はcleftなどの形態異常や、姑息段階の容量負荷などが原因で逆流を呈する事が多い.Fontan手術を目指す上では房室弁逆流の制御や、手術介入のタイミングが予後に影響すると報告されている.【対象】2005/1~2019/1にFontan手術に到達した機能的単心室症353例が対象.房室弁介入(前医での初回介入を含む)を行なったのは97例(年齢平均3.2歳、体重13.0kg)だった.【結果】97例中,Asplenia 25例, Polysplenia4例で弁形態は共通房室弁45例,一側房室弁閉鎖12例 (TAを含む),二房室弁40例であった.逆流は全例2以上<平均3.05,(Trivial:1,Mild:2,Moderate:3,Severe:4)>だった.手術時期はFontan前が65例、同時が32例で,初回術式の内訳は弁輪縫縮7例、Kay-Reed5例、弁尖形成術(cleft closure含む) 37例、二弁口化23例,一側弁閉鎖12例,弁置換6例,不明(前医で施行) 7例だった.追跡期間は平均8y(1m~15y)で,早期死亡は弁介入群(V群)/ 弁介入なし(N群):1例/1例で,遠隔期死亡はそれぞれV群/N群:5例/4例だった.遠隔生存率(%)はそれぞれ5年/10年V群 99.2 /96.8,N群 95.3/93.7(p=0.11)と同等,再手術回避率(%)もそれぞれ 5年/10年 V群 81.8 /78.1,N群 86.8/83.5(p=0.3)と同程度だった。弁介入後の逆流は平均1.64と改善しており,主心室のVolume(% of N)はV群:123.3,N群:101.2%(p<0.05)とやや大きかったが,EDP(mmHg)はV群:8.36,N群8.28(P=0.8),EF(%)はV群:54.%,N群:57.5(p=0.06)と心機能の低下は認めていなかった.V群でFontan後に弁へ再介入したのは3例のみで,弁介入時期で比較すると,Fontan前/同時で死亡はそれぞれ: 4例/1例であったが有意差は認めなかった(p=0.3).【まとめ】房室弁に手術介入した症例の予後は比較的良好であり,再手術に関しても非介入群と変わらなかった.手術時期に関しても今回の検討では有意差はなく,体格などに応じて適切な術式を選択することが予後を改善する上で重要であると考えた.