[OR39-4] 大動脈弓離断症修復術後における左室流出路に関する検討
キーワード:IAA, Yasui, LVOT
【目的】大動脈弓離断症(IAA)に対する修復術後の左室流出路狭窄(LVOTS)の発現等について検討する.【方法】2004年-2020年に当院で二心室修復術を施行し,術後1年以上耐術した26例に対し後方視的に検討した.【結果】IAAのtypeはA8例,B18例.心室中隔欠損(VSD)以外の合併異常は,総動脈幹症2例,両大血管右室起始症 1例.従来型修復術17例(C群),Yasui手術9例(Y群)であった.C群では,一期的14例,二期的3例(両側肺動脈絞扼術(PAB))であり,1例に大動脈弁下狭窄(SAS)切除を施行.修復時の平均日齢/体重(A/W)は18.6日/2.95kg.Y群は全例type Bであり,一期的6例,A/Wは13.2日/2.59kg.二期的3例(PAB2例,Norwood型手術1例),A/Wは184日/4.95kg.VSDは漏斗部型2例(O型),膜性部型7例(P型)で,VSD拡大を6例(O型1例,P型5例)に施行.C群における大動脈弁下径(SAD),大動脈弁輪径(AVD)の術前(pre),術後(post,[%N]=normal AVD ratio,1-12年)の変化(mean+/-SE)は,SAD:pre 5.86+/-0.76mm,post 97.9+/-7.28%N,AVD:pre 5.96+/-0.75mm,post 97.9+/-7.28%N.Y群では,心室中隔欠損孔径(VSDD),肺動脈弁輪径(PVD)の変化も検討し,VSDD:pre 6.3+/-0.46mm,post 62.3+/-14.0%N,SAD:pre 3.28+/-0.25mm,post 63.3+/-6.33%N,AVD:pre 3.96+/-0.24mm,post 76.3+/-5.40%N,PVD:pre 9.59+/-0.67mm,post 110+/-8.66%Nであり(post,1-12年),VSD-PAのルートは良好であった.LVOTSに対する再手術は,C群3例(大動脈弁狭窄(AS)進行1例,大動脈弓狭窄(re-CoA)2例)であり,AS進行例ではbicuspid Av,pre AVD 4.3mm,post AVD 86%N,PG(trans Av)=88 mmHgであった.Y群は3例(re-CoA1例,VSD狭小化と自己Avの成長による従来型手術への転換術2例)であり,転換術2例のVSDはP型であった.【結論】IAA修復術後のLVOTの経時的変化は,SAS解除を併施しても従来型修復術では良好な成長が認められた.Yasui手術では概ね良好なLVOTが確保できたものの,VSDの経時的狭小化を慎重に観察する必要性が示唆された.