[OR4-4] 胎児の心機能・循環不全評価指標の有用性について
Keywords:胎児心機能, 胎児循環不全, 胎児超音波
【背景】超音波技術の進歩により、胎児期の心機能や循環不全の評価に関しては、様々な報告がなされている。一般的には、胎児の心機能や循環不全の評価は、成人や小児の方法を応用して用いられている。また胎児期には、TTTS、 母体胎児間の影響、動脈管早期収縮、卵円孔早期狭小等、胎児特有の病態もある。胎児期の心機能障害は外因性と内因性に分けられ、外因性には高心拍出状態や外的心臓圧迫・前負荷や後負荷の変動が含まれ、内因性には心筋疾患や構造異常・不整脈等が含まれる。初診時には、病態不明の胎児に対しこれらを踏まえて循環不全の有無を評価し、転帰を予測した介入や早期分娩を検討する必要がある。【方法】胎児超音波では、収縮能や拡張能の各パラメーター以外にも、ストレイン、CCI、CVPSなど様々な指標がある。これらの指標の有用性や胎児の特殊性につき、文献を交え検討した。【結果】収縮能は妊娠経過中の変化は乏しく出生後の新生児とも比較的良く相関する一方、拡張能は妊娠期間中に大きく変化する。疾患別の特徴としては、FGRや母体糖尿病児は心肥大を主とする心機能障害を認め、TTTS児ではドナーとレシピエントで負荷の違いにより異なる特徴を呈する。大動脈弁狭窄のストレインや、動脈管早期収縮のTei index、卵円孔早期狭小の拡張障害は、予後指標となる可能性がある。【結語】胎児期には異なる病態とその重症度の違いにより、様々な循環不全が認められる。各々の症例に対し、適切な超音波での指標を用いて心機能や循環不全を評価することは、胎児期における介入の必要性や予後予測において、有用な指標になり得ると考えられ、症例の蓄積が必要である。