The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

多領域

デジタルオーラルI(OR40)
多領域1

指定討論者:青木 雅子(東京女子医科大学)
指定討論者:吉田 佳織(大阪母子医療センター)

[OR40-2] Berlin Heart EXCOR®を装着している幼児前期の子どもの発達を促すための多職種連携<小児看護専門看護師が中心となって行った一例>

吉川 亜矢子, 圓見 千代 (大阪大学 医学部附属病院 小児医療センター)

Keywords:多職種連携, 発達支援, Berlin Heart EXCOR®

【背景】体外式補助人工心臓(Berlin Heart EXCOR®:以下EXCOR)装着中の患児はドライブライン抜去のリスク、抗凝固療法による出血リスク、移動時に専門スタッフを要する等の理由から、発達が著しい乳幼児期に室内ですごす事を余儀なくされる。本症例はEXCOR装着中の幼児の発達を促すための多職種連携を小児看護専門看護師が中心となり行った。【対象の概要】A氏。女児。拡張型心筋症で2歳の時に8か月間EXCORを装着。装着直後は座位を保てず意思表示は殆どなかった。【介入の実際】身体的発達:A氏の状態を心不全によるADLの低下、発達遅延とアセスメントし、主治医と全身状態回復の見通しを共有した上で、安全な発達支援のために理学療法を取り入れた。しかし2歳のA氏に理学療法を促すことは困難なため、保育士と連携し理学療法に必要な活動を遊びの中で主体的にできるように介入した。5か月後A氏は掴り立ちをしたが、体幹が不安定で立位保持が困難だったため、理学療法士らと体幹を鍛える必要性を共有、病室に緩衝マットを敷き安全に活動範囲を拡大できるようにした。心理・社会的発達:発語の少なさは長期の活動制限による社会的活動の経験不足が一因とアセスメントし、保育士と共にA氏に簡単な選択を促し意思表出の機会を増やした。また他の子どもと関われるように、医師や臨床工学技士らと連携し定期的な室外散歩を企画した。【結果】介入期間中、活動性の拡大による転倒やドライブライン関係のトラブルはなく、A氏は伝い歩きをし、他患児への声掛けや言葉による意思表示をするようになった。更にEXCOR離脱後の退院時には手繋ぎ歩きができるようになった。【考察】専門看護師がA氏の状態をアセスメントし多職種と共有・協働することで、幼児の原動力である主体性を引き出しながらも転倒などのトラブルを起こさずに発達支援ができたと考える。今後はEXCOR装着中の乳幼児への多職種による発達支援の標準化が課題である。