The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Digital Oral

多領域

デジタルオーラルI(OR41)
多領域 2

指定討論者:仁尾 かおり(三重大学大学院医学系研究科)
指定討論者:西宮 園美(国立循環器病研究センター 看護部)

[OR41-3] 先天性心疾患患者の学校生活における重要他者からの支援に対する重要性の認識と経験の相違

仁尾 かおり1, 藤澤 盛樹2, 澤田 唯3 (1.三重大学大学院医学系研究科, 2.四天王寺大学看護学部, 3.三重大学医学部附属病院)

Keywords:学校生活, 重要他者, 支援

【背景】私達は先行研究において、「当事者が重要と認識している学校生活における重要他者からの支援」が「1.当事者が学校の先生と友達にはたらきかけ学校生活への理解と協力を得る」「2.友達は学校生活の中でほど良く配慮してくれる」「3.病気のことを学校の先生と友達と当事者で共有する」の3因子構造であることを明らかにした。しかし、実際は支援の重要性は認識していても支援を得ることは難しいのではないかと考えた。
【目的】学校生活における重要他者からの支援に関して、当事者が認識する重要性と実際の経験の差異を明らかにする。
【方法】患者会に所属する中学生以上350名を対象に自記式郵送法により調査した。3因子の25項目について、重要性と経験を5件法で回答を求めた。中学生・高校生・大学生別に、重要性と経験の得点について、対応サンプルによる Wilcoxon の符号付き順位検定を行った(IBM SPSS Statistics27使用)。所属機関の倫理審査委員会の承認を得て実施した。
【結果】有効回答137名(回収率39.1%)の内、生徒・学生78名(中学生35名、高校生27名、大学生16名)の回答を分析した。主な疾患は単心室17名、両大血管右室起始症12名などで、Fontan術後が31名であった。中学生、高校生では3因子全て、大学生では因子1と2の「経験」の得点が「重要性」の得点より有意に低かった。
【考察】当事者は重要と認識しているにも関わらず、実際は支援を受けることが難しい現状が明らかになった。複雑な心疾患を持ちながら社会に出る人は今後さらに増えると予測される。自分で先生や友達に働きかけ、適度に配慮してもらうためには、自分の病気を理解し説明する力をつけ、加えて小児期から意思表示をする機会を増やすことが重要と考える。
【結論】大学生の「病気のことを学校の先生と友達と当事者で共有する」以外、「経験」の得点が「重要性」の得点より有意に低かった。