The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

胎児心臓病学

デジタルオーラルI(OR5)
胎児心臓病学 2

指定討論者:稲村 昇(近畿大学病院)
指定討論者:前野 泰樹(聖マリア病院)

[OR5-4] 胎児診断によりスムーズに心内修復に到達できた左肺動脈動脈管起始症、右側大動脈弓の一例

清松 光貴1, 鍵山 慶之1, 高瀬 隆太1, 寺町 陽三1, 籠手田 雄介1, 財満 康之3, 庄嶋 賢弘3, 前野 泰樹2, 須田 憲治1 (1.久留米大学 小児科, 2.聖マリア病院 小児科, 3.久留米大学 心臓血管外科)

Keywords:肺動脈-動脈管起始症, 両側動脈管, 胎児心エコー

【背景】肺動脈-動脈管起始症 (DOPA) は早期診断・治療が重要な稀な血管形態異常である【症例】胎児期経過:在胎34週に右側大動脈弓(RAA)のため胎児心エコー外来に紹介された。胎児心エコー検査では、RAAと右動脈管によるmirror imageの大動脈弓であり、心内構造異常は認めなかった。しかし、左肺動脈は主肺動脈と連続がなく、左腕頭動脈から起始する左動脈管と連続しておりDOPA、RAA、両側動脈管と診断した。出生後経過:在胎39週で出生し、生後3時間で左動脈管が狭小化し左肺動脈は途絶しかけたためにプロスタグランジン製剤の持続静注を開始した。しかし、右動脈管が非常に太く開存した状態となり、左右の動脈管のバランス調整が困難で心不全状態となった。一期的根治術の方針とし、日齢8に左肺動脈移植術を施行した。左右の動脈管は結紮切離し、主肺動脈前壁のフラップを左肺動脈の後壁とし、前壁は自己心膜パッチで拡大形成した。術後は両側の末梢性肺動脈狭窄は認めるが経過は良好であり肺高血圧症を疑う所見は認めなかった。心疾患以外の合併奇形はないが、染色体検査や22q11.2欠失症候群の検索を施行予定である【考察】DOPAでは肺動脈が途絶した後も無症状で経過し、後に一側肺動脈閉鎖と診断される症例も多い。診断時には肺動脈血流の途絶により肺容量が低下していたり、健常側の肺動脈に高度の肺高血圧を来すことが知られている。早期診断による早期治療が望まれるが、本症例の様に胎児診断できる機会は多くない。正常な心内構造のRAAでは、右動脈管による完全なmirror imageの頻度は低いが、本例の様なDOPAを伴うことがあると報告されている【結語】大動脈の発生異常に起因するRAAでは、血管輪の検索とともにDOPAの鑑別が重要である。出生後は、両側のアンバランスな動脈管の維持は難しく、早期の修復術が望ましいと考える。