The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

複雑心奇形

デジタルオーラルI(OR6)
複雑心奇形 1

指定討論者:上田 秀明(神奈川県立こども医療センター)
指定討論者:新川 武史(東京女子医科大学)

[OR6-5] 心室冠動脈交通が左心低形成症候群の短期予後に及ぼす影響

佐藤 純1, 永田 佳敬1, 吉井 公浩1, 今井 祐喜1, 吉田 修一朗1, 武田 紹1, 西川 浩1, 大橋 直樹1, 櫻井 寛久2, 野中 利通2, 櫻井 一2 (1.JCHO中京病院 中京こどもハートセンター 小児循環器科, 2.JCHO中京病院 中京こどもハートセンター 心臓血管外科)

Keywords:左心低形成症候群, 心室冠動脈交通, 冠動脈閉鎖

【背景】左心低形成症候群(HLHS)に合併する心室冠動脈交通(ventriculo-coronary connections; VCC)はinterstage mortalityとの関連が報告されているが未だ不明な点が多い。【目的】VCCの有無・程度がHLHSの成績に及ぼしている影響を考察する。【方法】2013年1月-2020年12 月に当院で手術介入を行ったHLHSのうち出生時に心エコーでVCCを認めた群(V群)と認めなかった群(C群)を後方視的に検討。V群では冠動脈起始部まで逆行性血流を認めるものをmajor VCC(MV)、それ以外をminor VCC(mV)とした。【結果】対象はHLHS連続29例のうち肺静脈還流異常合併3例、転院1例を除く25例。V群は10例(MV 3例、mV 7例)で全例MS/AA、C群は15例でMA/AA 7例, MA/AS 3例, MS/AS 4例, MS/AA 1例。両群で在胎週数(38週 vs 38週, NS)、出生体重(2.5kg vs 2.8kg, NS)、胎児診断の有無(90% vs 66%, NS)、上行大動脈(AAo)径(2.5mm vs 2.5mm, NS)、restrictive FO(reFO)(20% vs 13%, NS)に有意差を認めず。C群で観察期間は有意に長かった(1.0年 vs 3.5年, p <0.05)。死亡はV群4例、C群5例(40% vs 33%, NS)で死亡時stageはV群でNWD後2例、BDG後2例、C群でNWD後2例、BDG後2例、TCPC後1例。NWD後30日以内死亡はV郡の2例(MV 1例、mV 1例)でそれぞれ片側、両側の冠動脈閉鎖(coronary atresia; CA)が剖検で判明した。CAを伴う2例中reFOは1例に認めた。【考察】VCCを伴うHLHSではCAの有無がNWD耐術に影響していた。VCCにCAを伴う場合は極めて救命困難だが、伴わない場合はMV、reFOを認めた症例も治療可能であった。CAはMV、reFOを必ずしも伴っておらず、AAo径も片側冠動脈からの逆行性血流を認める場合は比較的太く、これらからCAを否定することはできない。VCCを伴う例ではStage I palliation前により積極的なCAの診断努力が必要と思われた。【結語】CAが疑われる症例はNWD術前に左室造影等による冠動脈評価を行う必要がある。