[OR7-1] 無介入で経過した修正大血管転位症の中長期予後
キーワード:修正大血管転位症, 成人先天性心疾患, 長期予後
【背景】修正大血管転位症(CCTGA)の治療方針は症例ごとに大きく異なり、二心室循環でも近年はanatomical repairが積極的に行われるようになっている。一方で、成人期に初めて診断される症例も一定数おり、長期予後に関しては不明な点が多い。【目的】CCTGA症例のうち、無治療で経過している症例の中長期予後を検討する。【方法】当院で診療歴があるCCTGA症例のうち、無介入かつ中期的な経過を追跡可能な15歳以上の8例を対象とした。解剖学的右室のFAC, 三尖弁逆流(TR), NYHA, BNP, CTR, AVBの経年変化を評価した。TRはtrivial=0.5, mild=1, moderate=2, severe=3でスコア化して評価。【結果】SLLが6例(75%)、合併奇形を伴う症例は4例(50%)。最終経過観察時の年齢は26.6歳(15.8~64.6歳)、観察期間は6.8年(3.0~7.7年)。5例(63%)にACEI阻害剤、利尿剤、β遮断薬などの内服治療あり。FACは33.5%(24.0~38.6%)から32.9%(22.0~36.3%)と軽度悪化(p=0.01)、TRも悪化傾向を認めた(p=0.049)。NYHAは全例観察期間で中変化はなく、BNPやCTRも有意な変化を認めなかった。AVBは3例で進行、うち1例はRFCAによるCAVBでPMIとなっている。【考察】無介入で経過していた症例は肺動脈弁狭窄(PS)や大血管の転位がなく、三尖弁機能が良好な症例であった。右室機能およびTRは経時的に軽微な悪化を認めたが、内科治療を駆使することで安定して経過しており積極的な治療介入には議論の余地があると思われる。【結語】PSがなく三尖弁機能にも懸念が無い症例は比較的安定して経過する可能性もあり、anatomical repairを積極的に目指すべきかに関しては議論の余地がある。