[OR7-3] Pulmonary Artery Indexの変化がFontan循環に与える影響
キーワード:Pulmonary artery index, Fontan手術, PDE5阻害薬
【背景】Fontan手術前評価としてPulmonary artery index (PAI)の有用性が知られている。しかし、Fontan手術前後のPAIの変化が循環動態に与える影響については検討されていない。【目的】Fontan手術前後のPAIの変化が循環動態に及ぼす影響と、その変化に寄与する因子を検討する。【方法】2008年4月から2018年5月に、当院でFontan手術が行われ術後の心臓カテーテル検査まで終了した患者94人を、後方視的に検討した。Fontan手術前後でPAIが増加した群 (PAI増加群:51人)と、低下した群 (PAI低下群:43人)に分けた。2群間において、患者の基本特性、Fontan手術時の術式、導管サイズ、肺動脈形成の有無を比較した。また手術前後のPAIの変化率、術後の心臓カテーテル検査での中心静脈圧 (CVP)、肺血管抵抗 (PVR)、混合血酸素飽和度 (SvO2)を比較した。【結果】Fontan術後の心臓カテーテル検査で、PAIは増加群において低下群よりも有意に高値であった (243.0±8.0 mm2/m2 vs 172.4±7.4 mm2/m2、p<0.0001)。CVP (10.3±0.3mmHg vs 13.5±0.5mmHg、p<0.0001)およびPVR (1.48±0.1 units/m2 vs 1.99±0.16 units/m2、p=0.007)は、いずれもPAI増加群において有意に低値であった。SvO2は、PAI増加群において有意に高値であった (70.9±0.9% vs 61.9±1.4%、p<0.0001)。Fontan手術前のPAIは、手術後のCVP、PVRおよびSvO2と関連していなかった。PDE5阻害薬を内服していた患者において、術後のPAIは有意に増加していた (14.4±4.6% vs -1.3±5.7%、p=0.03)が、内服期間との関連は認めなかった。PAIの変化と肺動脈形成の有無に、関連は認めなかった。【考察/結論】Fontan手術前のPAIではなく、手術前後のPAIの変化が短期的には術後の循環動態を反映する。手術後にPAIが増加した症例においては、より良好なFontan循環が得られていた。Fontan手術前後におけるPAIの変化において、PDE5阻害薬内服の有無が関与している可能性がある。