[OR7-5] 単心室系疾患に対する両側肺動脈絞扼術は将来の肺動脈径に影響を与えるか
Keywords:単心室症, 両側肺動脈絞扼術, 肺動脈径
【背景】単心室系疾患に対する初回姑息術として両側肺動脈絞扼術(Bilateral Pulmonary Artery Banding; BPAB)がある。将来の肺動脈径についての報告は少ない。【背景と目的】BPABを行った患者のGlenn術及びFontan術前の肺動脈径、およびBPAB術からGlenn術までの期間が肺動脈径に与える影響を明らかにする。【方法】2015年2月から2021年2月までに出生した単心室系疾患を対象に、初回姑息術をBPAPB群(B群)とそれ以外の群(NB群)に分類した。Glenn術、Fontan術到達例、Glenn術前、Fontan術前の肺動脈断面積指数(PA index)について比較を行った。BPAB術からGlenn術までの期間(BG期間)とPA indexとの相関を検討した。PA index 200 mm2/m2をcut offとし、Receiver Operating Characteristic Curve(ROC)曲線解析を行った。【結果】64例を対象にした。男児は37例であった。単心室症が22例、両大血管右室起始症が13例、左心低形成症候群が12例、純型肺動脈閉鎖が11例、三尖弁閉鎖が5例、完全大血管転位症が1例であった。B群が22例、NB群が42例(非手術 10例、主肺動脈絞扼術 10例、shunt術 22例)であった。Glenn術、Fontan術到達例はB群が22例、15例でNB群が39例、28例であった(p=0.5, 1.0)。Glenn術前のPA indexはB群が183.1±62.9 mm2/m2, NB群が226.8±99.8 mm2/m2で(p=0.04)、Fontan術前のPA indexは169.2±63.3 mm2/2, 222.6±48.2 mm2/m2であった(p<0.01)。BG期間は相関係数-0.44と負の相関関係を示した(p=0.04)。PA index 200 mm2/m2以下になるBG期間のcut off値は108日でROC曲線下面積、感度、特異度はそれぞれ0.78, 90%, 67%であった。【考察】BPAB術は肺動脈径が小さくなるがFontan到達率は変わらないため患者背景や安全性など、総合的に判断するのが望ましい。BPABからGlenn術までの期間が長いほど肺動脈径は小さく、Glenn術時期は慎重に判断する必要がある。