[OR8-2] ファロー四徴症術後患者におけるT1 mapping解析
Keywords:ファロー四徴症, MRI, T1mapping
【背景と目的】心臓MRIによるT1mapping法は、心筋性状変化を反映し、特にExtra cellular volume (ECV)は心筋繊維化と相関するとされる。心室壁厚の薄い右室ではT1 mapping法が困難なこともあり、ファロー四徴症(TOF)術後患者を検討した報告は少ない。近年、肺高血圧および肺動脈絞扼動物モデルでのT1mapping解析において、左室と右室の接合部領域(right ventricular insertion point : RVIP)でのECVが高値であるという報告がなされた。本研究は、TOF術後患者においてT1mapping法を用いて心筋障害を推測し病態把握に反映できるかを検討した。
【対象と方法】2018年から2020年に1.5T CMR(Phillips)を施行したTOF術後患者に対して、患者背景、心カテデータを後方視的に検討した。nativeT1とECVはRVIP anterior、RVIP inferior、心室中隔、左室側壁でそれぞれ測定し、RVIP anteriorとRVIP inferiorの平均をRVIP値とした。
【結果】全18例中、男性が10例、年齢中央値は31歳(11-53歳)、最終手術からCMRまでの経過年数中央値は9年(1-34年)であった。RVIP値と右室収縮期圧、右室拡張末期圧には相関は認めなかったが、MRIにおけるRVEDViに相関を認めた(T1; r=0.51, p=0.03, ECV; r=0.55, p=0.02)。心室中隔、左室側壁のnativeT1値、ECVはいずれのデータとも相関は認めなかった。18例をRVEDVi≦140ml/m2群 14例と、RVEDVi>140ml/m2群4例にわけて検討したところ、RVEDVi>140ml/m2群では、RVIP値はnativeT1, ECVともに有意に高かった (T1; p=0.02, ECV; p=0.02)。
【結語】TOF術後患者のRVIPにおけるT1mapping法は、今回の検討では右室圧との相関はなく、RVEDViと有意な相関を認めた。今後より多くの症例での検討が必要であるが、RVIPにおけるT1mapping法は、TOF術後患者の右室心筋障害を評価する一つの項目になる可能性がある。
【対象と方法】2018年から2020年に1.5T CMR(Phillips)を施行したTOF術後患者に対して、患者背景、心カテデータを後方視的に検討した。nativeT1とECVはRVIP anterior、RVIP inferior、心室中隔、左室側壁でそれぞれ測定し、RVIP anteriorとRVIP inferiorの平均をRVIP値とした。
【結果】全18例中、男性が10例、年齢中央値は31歳(11-53歳)、最終手術からCMRまでの経過年数中央値は9年(1-34年)であった。RVIP値と右室収縮期圧、右室拡張末期圧には相関は認めなかったが、MRIにおけるRVEDViに相関を認めた(T1; r=0.51, p=0.03, ECV; r=0.55, p=0.02)。心室中隔、左室側壁のnativeT1値、ECVはいずれのデータとも相関は認めなかった。18例をRVEDVi≦140ml/m2群 14例と、RVEDVi>140ml/m2群4例にわけて検討したところ、RVEDVi>140ml/m2群では、RVIP値はnativeT1, ECVともに有意に高かった (T1; p=0.02, ECV; p=0.02)。
【結語】TOF術後患者のRVIPにおけるT1mapping法は、今回の検討では右室圧との相関はなく、RVEDViと有意な相関を認めた。今後より多くの症例での検討が必要であるが、RVIPにおけるT1mapping法は、TOF術後患者の右室心筋障害を評価する一つの項目になる可能性がある。