[OR8-3] Cardiac Magnetic Resonance Feature Trackingによるファロー四徴症術後の右房機能評価
Keywords:Cardiac Magnetic Resonance Feature Tracking(CMR-FT), RA strain, ファロー四徴症
【背景】ファロー四徴症(TOF)術後は心房性不整脈の合併も多く、心房圧上昇や心房切開線が原因と考えられている。近年Cardiac Magnetic Resonance Feature Tracking(CMR-FT)によるRA strainにより右心房機能を評価できると報告されており、PVRによって変化するかも含めて、検討を行った。【方法】2011~2017年に当院で肺動脈弁置換術(PVR)を施行したTOF術後症例で術前および術後のMRIでのRV容積、RVEF、PR率およびCMR-FTによるRA reservoir strain, Conduit strain, Atrium contraction(AC) strainを後方視的に解析しPVR前後で比較する。【結果】症例は27例(男11例、女16例)、年齢は24歳(19-51歳)で心房性不整脈は2例で術前右房圧は5.8±2.2mmHgであった。PVR前vs後で、RVEDVi=165.0 ± 44.3ml/m2 vs 110.4 ± 18.9ml/m2 (p < 0.001)、RAESVi = 66.5 ± 17.8ml/m2 vs 54.6 ± 18.3ml/m2 (p < 0.001)、RVEF=43.1 ± 7.9% vs 39.5 ± 7.2%(p=0.03)、PR率=44.6 ± 13.2% vs 4.4 ± 4.8%(p < 0.001)と、PRの改善と右心系容積拡大の改善が見られた。一方、RA strainは既報の健康成人での計測値より明らかに低く、とくにAC strainは9例で消失していた。Reservoir strainはRVEFと正の相関(r=0.51, p < 0.01)、Conduit strainはRVEDVと負の相関(r=-0.42, p=0.03)を示したが、AC strainはRVとの相関性はなかった。PVR前vs PVR後で、Reservoir strain 20.3±5.9% vs 19.2±9.2% (p=0.23)、Conduit strain 11.5±7.9% vs 11.7±9.5% (p=0.45)、AC strain 6.2±8.1% vs 7.1±6.9% (p=0.83)であり、いずれもPVRによる回復は認めなかった。【結論】TOF術後遠隔期のRA strainは低下しており、とくにRA収縮を反映するAC strainは消失している症例も多く、右房機能低下が示唆された。PVRをしてもRA strainは改善せず、心房性不整脈合併について慎重な観察を継続する必要があると考えられた。