[OR9-3] 心臓MRIを用いた筋ジストロフィーによるびまん性心筋障害の評価
キーワード:筋ジストロフィー, びまん性心筋障害, 心臓MRI
【背景】心臓MRIの遅延造影(LGE)は筋ジストロフィーによる心筋障害の検出に有用だが、LGEがわずかでも左室駆出率が低値である症例が存在し、びまん性心筋障害を検出できていない可能性がある。【目的】本研究では、筋ジストロフィーの患者および推定保因者を対象に、心臓MRIのT1 mappingを用いてびまん性心筋障害の定量的検出を試みた。【方法】筋ジストロフィー患者6名(すべて男性で年齢範囲8.6~34.4歳)と、Duchenne型もしくはBecker型の推定保因者5名(すべて女性で年齢範囲43.0~51.7歳)を対象に、LGEと造影前後のT1 mappingを含む心臓MRIを行った。造影前後のnative T1値とヘマトクリット値から左室全体の心筋細胞外容積分画(ECV)を算出した(正常上限値:男性29.5%、女性35.2%)。【結果】左室駆出率は4名の患者と1名の推定保因者で55%未満に低下しており、遅延造影MRIでは4名の患者と2名の推定保因者に異常増強像を認めた。患者2名でのみNT-proBNPが100 pg/mL以上に上昇していた。左室全体のECVは5名の患者(範囲32.3%~43.8%)と全ての推定保因者(範囲36.1%~39.8%)で上昇していた。【結論】筋ジストロフィーのびまん性心筋障害の検出に、心臓MRIのT1 mappingが有用であった。