[OR9-4] 大動脈弁逸脱合併心室中隔欠損症の左室および大動脈造影における逸脱弁尖の変形と大動脈弁逆流の関係
キーワード:漏斗部欠損, 大動脈弁逆流, 膜様部欠損
背景:大動脈弁逸脱(AVP)合併心室中隔欠損症(VSD)における弁尖の形態評価には超音波検査が一般的だが、弁尖の詳細な評価が難しく、VSD閉鎖後の大動脈弁閉鎖不全(AR)の合併や重症度を術前の逸脱弁尖の変形所見から推定することは困難である。大動脈造影は観血的だが形態評価に優れており、術前の弁尖所見から術後ARの程度が推定できる可能性がある。
対象および方法: 2001年から2019年までに当院で心臓カテーテル検査を施行したAVP合併VSD 147例 (男児91例)を対象とした。術前左室および大動脈造影から逸脱弁尖の変形を、弁腹部肥厚、弁腹辺縁不整、Hingeの変形、弁尖不均等、弁尖扁平化、弁尖分葉化、弁腹への造影剤貯留の7つの所見に分類し、逸脱弁の変形を術後AR(軽症以上)の有無で比較した。
結果: AVP診断時年齢は中央値1.3(四分位範囲0.5 ─ 3.0)歳であった。VSD部位診断は漏斗部型 116例(78%)、膜様部型 31例であった。術前ARを有した例は81例(55%)で、僅少 70例、軽症 10例、中等症 1例であった。AR診断時年齢は1.3(0.5 ─ 3.3)歳であった。血管造影時の逸脱弁の変形は、弁腹部肥厚114例(78%)、弁腹辺縁不整107例(73%)、Hingeの変形93例(63%)、弁尖不均等104例(71%)、弁尖扁平化81例(55%)、弁尖分葉化64例(44%)、弁腹への造影剤貯留7例(5%)であった。VSD閉鎖術を140例に施行し、2例に大動脈弁形成術を同時に施行した。術後AR残存例は55例(37%)で、13例に軽症以上のARが残存した(軽症11例、中等症2例)。術前の逸脱弁尖の変形について、術後に軽症以上のARが残存した群と非残存群との比較では、残存群で弁尖分葉化の割合が高かった(10例[77%] vs 46例[40%]、P=0.02)。
結論: AVP合併VSD例では、術後のARの有無を推定するため、術前に左室および大動脈造影を用いた詳細な弁尖評価が有用である。特に逸脱弁尖の分葉化は術後にARを有する可能性が高く早期の手術が望ましい。
対象および方法: 2001年から2019年までに当院で心臓カテーテル検査を施行したAVP合併VSD 147例 (男児91例)を対象とした。術前左室および大動脈造影から逸脱弁尖の変形を、弁腹部肥厚、弁腹辺縁不整、Hingeの変形、弁尖不均等、弁尖扁平化、弁尖分葉化、弁腹への造影剤貯留の7つの所見に分類し、逸脱弁の変形を術後AR(軽症以上)の有無で比較した。
結果: AVP診断時年齢は中央値1.3(四分位範囲0.5 ─ 3.0)歳であった。VSD部位診断は漏斗部型 116例(78%)、膜様部型 31例であった。術前ARを有した例は81例(55%)で、僅少 70例、軽症 10例、中等症 1例であった。AR診断時年齢は1.3(0.5 ─ 3.3)歳であった。血管造影時の逸脱弁の変形は、弁腹部肥厚114例(78%)、弁腹辺縁不整107例(73%)、Hingeの変形93例(63%)、弁尖不均等104例(71%)、弁尖扁平化81例(55%)、弁尖分葉化64例(44%)、弁腹への造影剤貯留7例(5%)であった。VSD閉鎖術を140例に施行し、2例に大動脈弁形成術を同時に施行した。術後AR残存例は55例(37%)で、13例に軽症以上のARが残存した(軽症11例、中等症2例)。術前の逸脱弁尖の変形について、術後に軽症以上のARが残存した群と非残存群との比較では、残存群で弁尖分葉化の割合が高かった(10例[77%] vs 46例[40%]、P=0.02)。
結論: AVP合併VSD例では、術後のARの有無を推定するため、術前に左室および大動脈造影を用いた詳細な弁尖評価が有用である。特に逸脱弁尖の分葉化は術後にARを有する可能性が高く早期の手術が望ましい。