[OR9-5] E-trackingとDoppler Echoを用いた詳細な血管床、循環動態の解析
Keywords:Wave Intensity, E-Tracking, 脳循環
背景】E-trackingは表在血管の壁の動きを追随する超音波解析手法で,頸動脈E-Trackingと実測血圧から血管壁の硬さが推定可能である。Doppler血流と合わせて評価することで大動脈圧流量関係、頸動脈圧流量関係を算出でき、体循環、脳循環の詳細な評価が可能になる。
方法】日立E-Trackingシステムを用いて頸動脈の血管壁運動を測定し、実測血圧を用いて頸動脈連続圧波形に変換し,Compliance(C)、PWVをそれぞれ算出し,同時に計測した頸動脈Doppler血流を用いて頸動脈圧流量関係から、脳循環のWave Intensity(WI)を算出した。脳血管Input Impedanceを計算し、脳血管床の評価を行った。同様に上行大動脈血流を測定し体血管床にも応用した。上記をFontan患者35名で計測、対照群20名と比較検討した。
結果】Fontan患者の頸動脈C、PWV は対照群に比しそれぞれ有意に低下、および増加しており動脈壁硬化を示した(1.25±0.07 vs 1.51±0.09 ml/kPa, 390±8 vs 356±10 cm/sec, p<0.05)。WI解析では圧縮加速波で、脳循環の重要な前進波を表すW1が Fontan患者で有意に低下していた。(31.0±2.6 vs. 48.1±4.4, P = .001). さらに末梢からの反射を表す負のWIがFontan患者では有意に増加し、Fontan患者の脳循環異常を示唆した。これらはImpedance解析における特性抵抗、血管抵抗の上昇と反射波の増加と相応した。また、頸動脈壁の硬化と高いCVPはW1低下の独立した規定因子であり、頸動脈壁硬化とうっ血が Fontan脳循環における病態生理に重要な役割を演じていることが示された。大動脈のWI解析では同様にFontan患者でのW1の低下と反射の増大のほか、膨張減速波のW2も低下が示された。W2はFontan心室前負荷に規定される大動脈血流慣性低下と密接に関わっていた(r=0.675、p<0.001)。
考察】E-trackingを応用することで心疾患のみならず種々の病態における血管機能、脳、体循環の詳細な評価が可能であり、病態解明に役立つと思われる。
方法】日立E-Trackingシステムを用いて頸動脈の血管壁運動を測定し、実測血圧を用いて頸動脈連続圧波形に変換し,Compliance(C)、PWVをそれぞれ算出し,同時に計測した頸動脈Doppler血流を用いて頸動脈圧流量関係から、脳循環のWave Intensity(WI)を算出した。脳血管Input Impedanceを計算し、脳血管床の評価を行った。同様に上行大動脈血流を測定し体血管床にも応用した。上記をFontan患者35名で計測、対照群20名と比較検討した。
結果】Fontan患者の頸動脈C、PWV は対照群に比しそれぞれ有意に低下、および増加しており動脈壁硬化を示した(1.25±0.07 vs 1.51±0.09 ml/kPa, 390±8 vs 356±10 cm/sec, p<0.05)。WI解析では圧縮加速波で、脳循環の重要な前進波を表すW1が Fontan患者で有意に低下していた。(31.0±2.6 vs. 48.1±4.4, P = .001). さらに末梢からの反射を表す負のWIがFontan患者では有意に増加し、Fontan患者の脳循環異常を示唆した。これらはImpedance解析における特性抵抗、血管抵抗の上昇と反射波の増加と相応した。また、頸動脈壁の硬化と高いCVPはW1低下の独立した規定因子であり、頸動脈壁硬化とうっ血が Fontan脳循環における病態生理に重要な役割を演じていることが示された。大動脈のWI解析では同様にFontan患者でのW1の低下と反射の増大のほか、膨張減速波のW2も低下が示された。W2はFontan心室前負荷に規定される大動脈血流慣性低下と密接に関わっていた(r=0.675、p<0.001)。
考察】E-trackingを応用することで心疾患のみならず種々の病態における血管機能、脳、体循環の詳細な評価が可能であり、病態解明に役立つと思われる。