[P11-2] Fontan術後遠隔期患者のnative T1, 細胞外液量の測定
Keywords:T1 mapping, 細胞外液量, フォンタン
【背景】心臓MRIで算出される細胞外液量(ECV)は心筋線維化の定量的評価に有効である。フォンタン術後患者のECV値及びその臨床的意義について検討した研究は少ない。【方法】2017年から2020年の4年間に、心臓MRIを施行した15歳以上のフォンタン術後遠隔期患者を対象とした。MRIマシーンはSIEMENS, MAGNETOM Aera (1.5 T)を使用し、呼吸停止下に心室短軸断面を用いてT1 mappingを造影・非造影で施行し、native T1値とECV値を算出した。心室が2つある症例はより大きな心室の数値を代表値として用いた。その他臨床データは診療録から後方視的に収集した。【結果】10例のフォンタン患者でMRIを撮影した。男性5人、年齢16-38(中央値25.5)、主たる心室は左室4、右室2、2心室Fontanが4例であった。房室弁の有意狭窄・逆流を呈した症例はなかった。Native T1は974-1181(中央値1061.5)ms、ECVは25-42(中央値28)%であり、4症例で正常上限である28%を上回った。ECVは左房容量係数(mL/m2)(R2 = 0.71), 血漿BNP値(pg/mL)(R2 = 0.51)、IV型コラーゲン7S (R2 = 0.26)と正の相関を、血小板数(/μL)(R2 = 0.80)と負の相関を示した。Native T1値においても類似の相関関係が観察された。一方、ECV、 native T1ともにEF、CIとは相関を認めなかった。【考察・結論】Fontan患者において心筋線維化による拡張障害が左房拡大と関連している可能性が示唆された。肝線維化マーカー上昇や血小板減少との関連も見られ、ECVはFontan syndromeの病勢評価に有効な可能性が示唆された。一方で、Fontan術後患者はHeterogeneousな集団であり、基礎心疾患ごとの詳細かつ大規模な調査が求められると考えられた。