[P11-5] 心房中隔欠損の閉鎖による心房の経時的変化
Keywords:ASD, 心房容量係数, atrial force
【背景】心房中隔欠損(ASD)の閉鎖により右心系の容量負荷の軽減が得られる一方で左室への流入血流が増加する.術前に比べ左心系は拡大するが,遠隔期に拡大が遷延している症例が時にみられる.ASDの治療前後における心房の経時的な変化の報告は散見されるがカテーテル治療と関連した血行動態指標は明らかでない.【方法】心臓超音波画像から術前から術後1年までの心房容量係数を算出し,治療方法及び血行動態指標と合わせて後方視的に解析した.【結果】ASD100例を対象とした.右心房容量係数(RAVI),左心房容量係数(LAVI)は全経過で正相関の関係にあった.いずれもBNP, NT-pro BNPと正相関を示した(p<0.05)が,HANPとは相関を認めなかった.またRAVIは術後1か月で低下し,カテーテル治療例の方が高値であった(p<0.05).一方でLAVIは治療前後で有意な変化を認めなかった.左心房の収縮により生じるatrial force;0.5×ρ×僧帽弁輪径×(左室流入A波最大速度)2は術後6か月でカテーテル治療例でLAVI,RAVIと正相関を示し,術後1年でRAVIと負相関を示した(p<0.05).【結論】ASD術後のLAVIに変化はなかったが,カテーテル治療後には経時的に心房収縮が変化している可能性が示唆された.