[P13-2] 機能的右室型単心室の姑息術前後の右室機能の変化
キーワード:右室型単心室, 姑息術, 右室機能
(背景)機能的右室型単心室はFontan型手術を目指すために2~3回の姑息術が必要になる。体心室が右室のため解剖学的に脆弱であり、姑息術による心機能への影響も大きいと考える。今回姑息術前後での右室機能を評価し、どのような変化が生じうるか検討した。(方法)2019年9月から2021年2月までに当科で経験した、左心低形成症候群(HLHS)を含む機能的右室型単心室について、出生時とGlenn前カテーテル時に経胸壁心エコーを行い、心尖部四腔断面像(4CV)での右室拡張末期断面積(RVEDA)及び右室面積変化率(RVFAC)、TAPSE、2Dスペックルトラッキング法で4CVのGlobal Longitudinal Strain(GLS)と同strain rate(GLSr)を評価した。エコーはGE healthcare社のVivid E95を用い、4CVで心室中隔まで含めた6 セグメントの平均(GLS)と、自由壁のみ3セグメントの平均(Segmental Longitudinal Strain:SLS)を算出した。小児右室容積、右室ストレイン値の正常値はそれぞれLang、Levyらの文献を参考にした。HLHS以外をA群、HLHSをH群として両者で評価項目を比較した。(結果)対象は7例で、観察期間中央値は11カ月(7-17カ月)。A群は3例で、生後1か月前後でBTシャント手術を施行。H群は4例で、3例が新生児期に1期Norwood手術(RV-PAシャント)を施行、1例のみ両側PA banding後に同手術を施行された。A群では術前後でRVEDAのZスコアが5.6から7.2に増加、FACは39.0%から28.9%に低下、TAPSEのZスコアは-1.13から-1.0で変化なし。GLSは-16.6%から-14.6%に低下、SLS -17.4%から-17.2%で変化なし。H群では術前後でRVEDAのZスコアが4.4から5.3に増加、FACは35.0%から35.0%で変化なし、TAPSEのZスコアは-0.75から-4.55に低下。GLSは-16.8%から-16.6%で変化なく、SLS -20.0%から-15.8%に低下した。(考察)シャント術後には肺血流増加による右室容積の拡張と全体的な収縮低下が、Norwood術後には右室への手術侵襲による自由壁の収縮低下が示唆された。