[P13-5] 心室中隔欠損における肺動脈キャパシタンスの検討
Keywords:windkessel model, キャパシタンス, 時定数
【背景】血流を電気回路に近似したWindkesselモデルでは、血流が血管抵抗(レジスタンス)と血管進展性(キャパシタンス)で規定される。レジスタンスは定常流への抵抗を表す一方、キャパシタンスは拍動流の流れやすさを反映する。肺動脈キャパシタンス(Cp)の低下が特発性肺動脈性肺高血圧症の予後不良因子であるとされているが、左右短絡疾患におけるCpの意義については報告が少ない。【目的】心室中隔欠損(VSD)における大動脈キャパシタンス(Cs)とCp、左右短絡量との関連を明らかにする。【方法】当院で2018年~2020年に心臓カテーテル検査を行ったVSD患者16名(V群、年齢3~18か月、中央値5カ月、男9名、女7名)、心内修復後患者5名(C群、年齢3~29か月、中央値22カ月、男2名、女3名)について、検査で得られた下行大動脈、主肺動脈拡張期圧曲線から時定数、Cs、CpおよびCp/Csを算出し、V群において肺体血流比(Qp/Qs)、肺体血管抵抗比(Rp/Rs)と比較した。【結果】V群ではmPAP 26.7±6.3mmHg、Cs 1.06±0.30ml/mmHg/m2、Cp 1.61±0.79ml/mmHg/m2、大動脈時定数(τs )0.80±0.15sec、肺動脈時定数(τp )0.15±0.05、C群ではCs 0.86±0.21ml/mmHg/m2、Cp 1.24±0.75ml/mmHg/m2、τs 0.79±0.15sec、τp 0.15±0.08secであり、両群間でこれらの指標に有意差を認めなかった。(Cs: p=0.10、Cp: p=0.19)また、V群ではQp/Qs 2.94±1.14、 Cp/Cs 1.43±0.72、 Rs/Rp 7.78±2.2であり、Qp/QsとCp/Csの間に正の相関を中等度認めた(r=0.445)。【考察】VSDにおける肺血流量は、Rp/Rsに加え、Cp/Csの影響を受けることが示唆された。