The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

心臓血管機能

デジタルオーラルII(P14)
心臓血管機能 2

指定討論者:鎌田 政博(たかのばし中央病院)
指定討論者:桃井 伸緒(福島県立医科大学医学部小児科)

[P14-1] 無負荷時心筋最大短縮速度 (Vmax) 、生理的心筋最大短縮速度 (Vpm) による右室収縮能評価

早渕 康信, 本間 友佳子 (徳島大学大学院 医歯薬学研究部 小児科)

Keywords:右室収縮能, 心筋短縮速度, the maximal velocity of unloaded contractile element

【背景と目的】先天性心疾患における右室収縮能評価は臨床上重要であるが、その計測は非常に困難である。肺動脈狭窄や肺高血圧の重症度は非常に幅広いために後負荷は症例ごとに大きく異なる。また、三尖弁逆流、肺動脈弁逆流が強い症例が多いために前負荷も大きく異なる。右室駆出率(RVEF)の測定やPV loopから得られるEmaxは右室収縮能を測定するのに有用であるとされているが、右室駆出率は前負荷、後負荷に大きな影響を受けることから右室心筋の収縮性をそのまま示しているとは言えない。Emaxは右室収縮能を前負荷・後負荷に影響されずに示すと報告されている。しかし、右室容積計測は誤差を生じやすいためEmax計測の正確性には問題が生じやすく、信用性が低いと言わざるを得ない。右室容積測定を要しない指標として右室圧波形から得られる無負荷時心筋最大短縮速度 (Vmax; the maximal velocity of unloaded contractile element)、生理的心筋最大短縮速度(Vpm; the physiologic maximal velocity of contractile element ) がある。【目的】前負荷、後負荷に影響を受けない右室収縮能指標としてのVmax, Vpmの有用性を検証する。【方法】心筋短縮速度 Vce (velocity of contractile element) = (dP/dt)/KP として算出される。X軸をP(右室圧)、Y軸を(dP/dt)/KPとした際に得られる最大短縮速度をVpmとした。さらに、等容性収縮期部分のVceを外挿してP=0のときの値を算出してVmaxとした。これらの値とRVEFおよび組織ドプラから得られる三尖弁輪のIVA (isovolumic myocardial acceleration), IVV (isovolumic contraction velocity)を比較検討した。【結果】VmaxおよびVpmは、IVA (r=0.31および 0.35; p<0.05, both) とIVV (r=0.32および 0.34; p<0.05,both)との間に有意な相関が得られた。しかし、RVEFとは有意な相関は認めなかった。【結語】VmaxおよびVpmは右室収縮能を示す指標として有用であると考えられた。