[P14-2] プロプラノロールが正常乳児の心機能に及ぼす影響
Keywords:プロプラノロール, エスクロン, 電気的心臓計測モニター
【はじめに】乳児血管腫に対してプロプラノロール(ヘマンジオルシロップ)の内服治療が行われている。電気的心臓計測モニターは非侵襲的に大動脈中の血液の電気抵抗の変化率を測定し、連続的に心拍出量(CO)、一回拍出量(SV)、収縮性係数(ICON)、胸郭内体液量(TFC)などを算出する。小児循環器医は不整脈を含む心疾患患者にプロプラノロールをよく使用するが、正常乳児に使用することはこれまでなく心機能の変化のデータがない。【目的】プロプラノロール投与中の心機能の経時変化をエスクロンを用いて測定する。【対象】乳児血管腫のためにプロプラノロール(1~3mg/kg/日)を入院で導入した患者7人。【結果および考察】以下の共通の結果を得た。まず、CO、ICON、SVはほぼ同じ動態を示す。内服直後に心拍数が急激に低下する場合は、ICONが低下することでSVとCOが低下する。すなわち内服直後のCO低下の原因は心拍数とSV両方の因子によるが、このSV低下は心エコーではとらえにくい程度のものである。その後、ゆっくり心拍数が低下してくるようになると、ICONが上昇してきて、SVとCOも上昇してくる。これはCOを維持しようという代償反応と考える。また、COとTFCは反比例した動態を示すことが多い。特にCOが大きく低下した時はTFCが上昇しており、肺静脈うっ血を反映していると考えるが、この肺静脈うっ血も胸部X線でとらえることは困難である。【まとめ】プロプラノロールにより、肺静脈うっ血を伴う心機能低下が一過性に生じていることがエスクロンによる計測から分かったが、心エコーや胸部X線でとらえられない様な微細な変化と考えてよい。そのような変化を非侵襲的に把握できることがエスクロンの有用性である。