[P17-2] 当院において大動脈縮窄(CoA)に対するステント留置術を施行した5例の検討
Keywords:大動脈縮窄, ステント治療, カテーテル治療
【背景】CoAの治療において,十分な体格 と成人の大動脈径までステントを拡大留置できる病変であれば,ステント留置術(SI)はよい適応である。SIは,外科手術に比し低侵襲であり,経皮的バルーン拡張術(BD)に比べ大動脈瘤や大動脈解離のリスクが少ないとされているが,本邦では未だ薬事承認が得られていない,カバードステントが入手困難であるなどの理由から,積極的に使用されていない現状がある。
【目的と方法】当院におけるCoAに対しSIを施行した5例について,診療録より後方視的に検討する。
【結果】5例 (男女比3:2) におけるSI時の年齢は14~33歳であった。1例は単純型で,成人期に発見された。4例は複雑型で,VSDを伴うものが3例,MSやASを伴うものが3例おり,いずれも乳児期にCoA修復術(鎖骨下動脈フラップ法 1例,拡大大動脈弓吻合術1例,直接吻合2例)を施行された。SI前にBDを施行された症例はいなかった。
狭窄形態は全例が大動脈峡部の限局型で,ステントは全例でPalmaz P4010を用いた。治療により,最狭窄径は6.7~9.0(平均8.1)mmから11.5~13.9(12.7)mm, 圧較差は15~45(平均26.8)mmHgから0~10(2.6)mmHgまで改善した。1例で術翌日にステントが腹部まで脱落したため,これを胸部大動脈にバルーンで圧着させ,新たなステントを留置した。その他,造影剤アレルギー,溶血,大腿動脈損傷を各1例認めたが,いずれも一過性であった。
術後フォロー期間0.3~11.2年において,1例でSI後2年でのBDを要した。圧較差は0~11mmHgに留まり,ステント部に外科的治療を要した症例や大動脈瘤・解離を来した症例はいなかった。【考察】当院におけるCoAに対するSIは,後遺症なく有効な治療成績が得られた。成人の大動脈径までの拡張が期待できる限局型のCoAにおいては,SIを積極的に考慮しうるため,早期にデバイスの適応取得が望まれる。
【目的と方法】当院におけるCoAに対しSIを施行した5例について,診療録より後方視的に検討する。
【結果】5例 (男女比3:2) におけるSI時の年齢は14~33歳であった。1例は単純型で,成人期に発見された。4例は複雑型で,VSDを伴うものが3例,MSやASを伴うものが3例おり,いずれも乳児期にCoA修復術(鎖骨下動脈フラップ法 1例,拡大大動脈弓吻合術1例,直接吻合2例)を施行された。SI前にBDを施行された症例はいなかった。
狭窄形態は全例が大動脈峡部の限局型で,ステントは全例でPalmaz P4010を用いた。治療により,最狭窄径は6.7~9.0(平均8.1)mmから11.5~13.9(12.7)mm, 圧較差は15~45(平均26.8)mmHgから0~10(2.6)mmHgまで改善した。1例で術翌日にステントが腹部まで脱落したため,これを胸部大動脈にバルーンで圧着させ,新たなステントを留置した。その他,造影剤アレルギー,溶血,大腿動脈損傷を各1例認めたが,いずれも一過性であった。
術後フォロー期間0.3~11.2年において,1例でSI後2年でのBDを要した。圧較差は0~11mmHgに留まり,ステント部に外科的治療を要した症例や大動脈瘤・解離を来した症例はいなかった。【考察】当院におけるCoAに対するSIは,後遺症なく有効な治療成績が得られた。成人の大動脈径までの拡張が期待できる限局型のCoAにおいては,SIを積極的に考慮しうるため,早期にデバイスの適応取得が望まれる。